動物実験にサルを使う先端医療などの研究で、中国の存在感が増している。 中国南部、雲南省昆明市。この街の中心部から車で約1時間離れた山中に、新しい研究棟が連なっていた。省政府が運営する「雲南中科霊長類生物医学重点実験室」は、世界最大級の研究施設だ。東京ドーム2・8個分ほどの敷地内では、アカゲザルとカニクイザルの計4千匹を飼っている。「サルがいる建物だけで70棟以上ある」。職員が指さした壁の向こうには、三角屋根の飼育小屋がずらりと並んでいた。 施設では、サルを使った動物実験で、難病の治療に向けた研究が進んでいる。受精卵の遺伝子を編集し、発病の仕組みや治療法がわかっていないヒトの難病を発現させる。そのサルを観察し、遺伝子に変異が起きてから発症するまでの過程や、どんな薬が効くのかを調べている。 理事長の季維智・昆明理工大特別教授は「サルは生物学的にヒトに近い。病気の現れ方も似ている」と利点を説明す