役目を終え、荒れるがままに放置された「廃道」の魅力を紹介する本が相次いで刊行された。ネット上には「オブローダー」(廃道探索者)なる新語もちらほら。退廃の美へのあこがれや郷愁に加え、人や地域をつなぐ道の“物語性”が現代人の心を引きつけているようだ。 10月末に刊行された『廃道をゆく』(イカロス出版)は、全国に点在する廃道のうち44本を、景観・歴史・荒廃度といったテーマ別に紹介するムック本だ。写真や図版を豊富に使い、探索の心得や観察のコツも説く。同社では、通行困難な国道を特集した『酷道(こくどう)をゆく』が2巻で10万部のヒットを記録。近年の廃虚ブームの流れで「道路への関心も高まっている」(同社)と出版を企画したという。 実業之日本社も今月、ブルーガイド・ムック『廃道本』を刊行した。歴史的価値が高い廃トンネルの建築美や、廃道に至るまでの経年変化の法則を考察する。マニア向けの内容だが、発売前から