岸田文雄首相は、激減する日本の出生率を「国家の危機」と呼び、歯止めをかけるべく奔走する。このまま出生率が上がらなければ、2040年までに1100万人もの労働者が不足するリスクがある。 そんななか、日本の大手企業で進む「残業禁止」の施策が、出生率アップにも寄与する可能性がわかってきた。米誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が、実際に企業の取り組みとその効果を取材した。 残業禁止で生産性が大幅アップ 2010年、岡藤正弘は伊藤忠商事のCEOに就任した際、国内の大手商社と競合できるよう、生産性の向上を最優先事項にすえた。 しかし岡藤のアプローチは、型破りなものだった。20時以降の業務を禁止し、よほどの例外を除き、社内から残業を取り払った。警備員と人事部社員が都内にあるオフィスを見回り、残っている社員に帰宅するよう注意する。 デスクにしがみついている社員は皆、翌朝早めに出社してタスクを終わらせる