新型コロナウイルスの影響で、海外からの帰国者は待機や移動手段の制限を求められている。国は「要請」の体を取るが、検疫当局は法令を背景に強制する姿勢だ。しかし、実際の検疫現場では帰国者たちが密集して列をなし、感染防止策は不徹底。構えは厳しく内実は乏しい日本の「水際作戦」に、ドイツから帰国し、目下、東京都内のホテルで「待機」中の研究者が首をかしげている。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】 「外出しません」誓約 まるで強制 研究者は、東京女子大学現代教養学部で准教授を務める柳原伸洋さん(42)。ドイツでの研究を終え、3月25日に帰国した。ドイツは既に水際対策の対象になっており、日本に向かう機内で申告書と質問票、健康カードを受け取った。 水際対策は、対象となる国・地域からの帰国者に空港で検疫を課し、ホテル・自宅での待機と公共交通機関の利用自粛を要請するというもの。要請に根拠となる法律はなく、強