サイ・ヤング賞候補?岩隈 2年目の大躍進 3つの秘密と数字
福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazuphoto by Getty Images 開幕から先発ローテーション入りし、好成績を残しているマリナーズの岩隈久志 メジャー2年目の岩隈久志投手(シアトル・マリナーズ)が、今シーズン大健闘しています。現在、10試合に先発して5勝1敗。防御率2.37はリーグ5位、被安打率.194も同5位、そしてWHIP(※)0.87はリーグトップの数字を残しています。そして何より目に付いたのが、1イニングあたりの球数です。今シーズン、岩隈投手が1イニングに投じた球数の平均は14.15個。これは現在リーグ2位の記録で、実は平均14球前後という球数は、メジャーでも非常に少ない数値なのです。そこで今回は、あまり日の目に当たることの少ない「球数」について紹介したいと思います。 (※)WHIPとは、被安打数と与四球数(与死球数は含まない)
レギュラー定着に向けて奮闘を続けている川﨑宗則 トロント・ブルージェイズの川﨑宗則がメジャー昇格を果たしてから、1カ月が経とうとしている。現地5月12日現在、61打数15安打、打率.246。決して高い数字とは言えないが、一方で選んだ四球は9個を数える。ゆえに出塁率は.338をマーク。この数字に関しては、十分に胸を張っていい成績だと思うのだが、本人は「100回あれば100回。1000回あれば1000出塁しないといけない」と、まったく納得していない。 ブルージェイズのジョン・ギボンズ監督が「右投手の時は、(川﨑は)一番打者」と起用法について語ったこともあったが、ここ数試合は右投手が先発の時は下位打線がほとんどで、左投手の時はベンチスタートのことが多い。右投手に対して49打数13安打、打率.265だが、左投手は12打数2安打、打率.167。常時出場するための課題は明確だ。 だが、昇格してからまっ
今シーズン限りで引退するヤンキースの守護神、マリアーノ・リベラ メジャーリーグ史上最高のクローザー、歴代最多の608セーブ(2012年シーズン終了時)を記録するマリアーノ・リベラのラストシーズンが開幕した。 華やかなはずの開幕戦。だが、4月1日(現地時間)に本拠地で開幕したヤンキースのセレモニーの場に、デレク・ジーター、アレックス・ロドリゲス、マーク・テシェイラ、カーティス・グランダーソンといったチームの顔である選手はいなかった。 ヤンキースの一員として初めての開幕を味わったイチローが、「僕、(ヤンキースに)来たばっかりですけど、まあまあ長くいる感じになっているもんね。それぐらい野手は......」と故障者続出の現状に苦笑いを浮かべた。主力選手不在のセレモニーは盛り上がりに欠けたが、唯一、イントロダクションが中断されるほどの拍手喝采を浴びたのがリベラだった。 昨年の5月3日。リベラは試合前
オープン戦で順調な仕上がりを見せているシカゴ・カブスの藤川球児 現地時間の3月31日、ついにメジャーリーグが開幕します。2013年、どんな展開が待っているのか、今から興奮を抑えきれません。そしてこの時期、何より気になるのは、メジャーに初挑戦する日本人プレイヤーたちでしょう。シカゴ・カブスの藤川球児投手、オークランド・アスレチックスの中島裕之選手、そしてサンフランシスコ・ジャイアンツの田中賢介選手です。そこで今回は、オープン戦の結果を踏まえつつ、開幕直前の彼らの現状を紹介したいと思います。 まずは昨年12月2日、シカゴ・カブスと2年総額950万ドル(約7億8000万円)で契約した前阪神タイガースの藤川投手です。背番号11番を与えられた藤川投手に対し、キャンプ前、カブスのデール・スウェイム監督は「(藤川は)8回を投げることになる」と語り、中継ぎでの起用を明言しました。よってカブスのクローザーは
今季オープン戦での田中。開幕までになんとかメジャーへ上がるべく、セカンドだけでなく、ショート、サードなどの守備にも挑戦していたのだが……。 今シーズン新たに海を渡った2人の日本人内野手、ジャイアンツの田中賢介も、アスレチックスの中島裕之も、やはり内野守備で苦しんでいる。 田中は、打撃でも結果を出し切れずマイナースタートが決定。中島も同様にバッティングでも精彩を欠き、報道によると、セカンドコンバート論が噴出しているとか。 なぜ日本人内野手は、ことごとく守備で苦しむのか。 最大の要因は、日本の球場の多くが採用している人工芝と、メジャーの球場に多い天然芝の違いだ。'07年から'10年までメジャーでサード兼二塁手としてプレーした岩村明憲(ヤクルト)はこう語る。 「まず、基本姿勢がぜんぜん違うんです。日本人の場合は、左足が若干前で捕球する。でも、アメリカの内野手は、右足が前なんです」 日本では、内野
ダルビッシュのメジャー2年目、米サイトでは意外にも勝ち星微減の予想が多数を占めるが…… 【Getty Images】 14勝9敗、防御率3.45、奪三振247──。 6年総額6000万ドルという超大型契約でレンジャーズ入りし、今年でメジャー2年目を迎えるダルビッシュ有。その2013年シーズンを、野球を統計学的見地から客観的に分析する「サイバーメトリクス」の始祖として知られるビル・ジェームズは、毎年恒例の成績予測でこんなふうに占っている。 実は「ファンタジー・ベースボール」が盛んな米国では、さまざまな媒体がこのような成績予測を行っている。「ファンタジー・ベースボール」とはファンが実在の選手を独自に編成して仮想チームを作り、実際のシーズン成績をポイント化してチームごとに競うという一種の野球ゲームである。一説によると米国では1000万人を超えるファンがこのゲームに興じているとも言われており、ファ
第3回ワールド・ベースボール・クラシックも終わり、これからアメリカ球界の興味は2013年のMLBシーズンに完全にシフトして行くことになる。ニューヨークでは、例年ならば街の象徴でもあるヤンキースの話題で盛り上がって来る時期のはずだが……。 しかし、今年はこれまでのところ、ヤンキースの行く末に悲観的なメディア、ファンが圧倒的に多い。フロリダから届いて来るプレシーズン戦の映像などを実際に観ても、“悪の帝国”と呼ばれたスター軍団の面影は確かにない。 特に昨季フランチャイズ記録の245本塁打を記録した打線からはニック・スウィッシャー、ラッセル・マーティン、ラウル・イバニェス、エリック・チャベス、アンドリュー・ジョーンズが抜け、股関節を痛めたアレックス・ロドリゲスもオールスター前後まで長期休養が確定的(この6人で昨季計112本塁打)。加えて春季キャンプ中にはカーティス・グランダーソン、マーク・テシェイ
「最高の成功」と評された第3回WBC、しかしその盛り上がりの中に米国はいない 【Getty Images】 「最高の成功といえる大会だった。世界的なイベントとして向上を続けており、(バド・セリグ)コミッショナーは次回大会に向けて1000%のやる気だ」 現地時間3月19日にサンフランシスコで行なわれた第3回ワールド・ベースボール・クラシック決勝戦のあと、完全優勝を遂げたドミニカ共和国のベンチ前でMLBのティム・ブロスナン副社長は誇らしげにそう語った。 実際に今大会の観客動員は過去最高を記録し、ドミニカ、プエルトリコ、台湾、日本などではテレビ視聴率も素晴らしい数値をマーク。特に8試合に渡って圧倒的な強さを示し、決勝戦後にはプエルトリコ選手たちとフィールドで握手を交わすスポーツマンシップまで示したドミニカのおかげもあって、華やかかつ後味の良い大会になったと言える。 ただ、その盛り上がりの中に、開
「キャプテン・アメリカ」の称号を与えられるも、負傷のため戦線を離脱したデビッド・ライト 3月9日のフェニックス・ラウンド、負ければ一次予選で敗退という対イタリア戦。5回表に同点から満塁ホームランを打ったアメリカ代表チームのデビッド・ライト選手(ニューヨーク・メッツ)は、翌日になってメディアから「キャプテン・アメリカ」と呼ばれ始めた。 マイアミ・ラウンドにコマを進める中で好調を維持したライト選手は、12日のプエルトリコ戦でも5打点を上げ、アメリカの野球界では「公式に」この称号をライト選手に与えた格好となった。「顔の見えるリーダー」が活躍することでWBCのチームUSAは人気も上昇すると思われたのだ。 だが、このストーリーは最悪の結果を迎えることになる。その「キャプテン・アメリカ」は、14日には背中の痛みを訴えてドミニカ戦を欠場、そのまま戦線を離脱してしまったのである。翌日の15日にプエルトリコ
2011年、2Aのハリスバーグ・セネタースにいた頃、19歳のブライス・ハーパー。自分の用具とカバンに囲まれて、ダグアウトで試合を待つ。 “白帯か? それとも黒帯か?” 柔道や空手を習ったことがない人でも、白帯から黒帯に移行する際、きちんとそのレベルにあった昇級を重ねながら段階を踏んでいくシステムは理解していることだろう。もちろんそれは野球の世界でも同じことが言えるはずだ。 そんなことを改めて感じさせられる出来事がメジャーのキャンプ取材中に起こった。 昨年の大谷翔平選手の去就問題でクローズアップされたマイナーリーグという巨大組織。だが結局は“厳しい環境”とか“メジャーに昇格するまでの行程が長い”などのイメージばかりが先行し、日本国内でその実態を正確に検証されることはほとんどなかった。 “黒帯か白帯”という二択以外の選択肢はないのか? そんな中、ドジャースのスカウト部門と育成部門のトップ2人か
メジャー13年目で初となるタンパでのキャンプ。イチローはどんな印象を持ったのだろうか ニューヨーク・ヤンキースがキャンプインして約3週間、キャンプ地のフロリダ州タンパでは連日オープン戦が行なわれています。昨年7月にシアトル・マリナーズから移籍してきたイチロー選手にとって、タンパでのキャンプはメジャー13年目で初めての経験です。そこで今回はヤンキースのキャンプ地、タンパについて紹介したいと思います。 タンパとメジャーリーグの関係を振り返ると、ちょうど100年前までさかのぼります。1913年、フロリダ州西海岸に位置するタンパに最初の常設キャンプ場を作ったのは、シカゴ・カブスでした。そして1931年にはシンシナティ・レッズもタンパにやってきて、ヤンキースがキャンプを張るようになったのは1996年のことです。 古くからキャンプ地として栄えただけに、野球の盛んなタンパの町は、多くの偉大な野球選手を輩
史上最高のクローザー、マリアノ・リベラが2013年シーズンを最後に引退する。 土曜日午前中、ジョージ・M・スタインブレナー・フィールドで行われた記者会見で、43歳のリベラは、家族、ヤンキース・オーナーのハル・スタインブレナー、そしてデレク・ジーターとアンディ・ペティットを始めとしたチームメイトと全員と共に、予想された内容の公式発表を行った。 「今シーズンの終了をもって、引退する」妻と二人の息子を脇にリベラは言った。 その発表をする前にリベラは、ブライアン・キャッシュマンGMがチーム方針を覆して、彼と3年契約を結んだと冗談を言った。 「このような決断をするのは、簡単なことではない」真剣に戻ったリベラは言った。「今シーズンで引退する・・・。今、君たちは僕が言ったことを聞いただろ。これが正式発表だ」 リベラは、もしケガをしてなかったら、昨シーズンで引退していただろうと言った。 「ああいった形で、
球春が到来し、アメリカ国内でもベースボール関連のニュースを耳にする機会が徐々に増えて来ている。 日本時間3月8日にはアメリカ代表が出陣し、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)も少しずつ盛り上がりを見せて来るだろう。メジャーの春季キャンプもたけなわで、アリゾナからは“ダルビッシュ有がレンジャーズの開幕投手候補になっている”といった景気の良い報道も聴こえて来ている。 しかし、そんな華やかな話題が飛び交う中で、ほとんど忘れかけられているように感じられる日本人投手がいる。2006、09年は日本代表の大黒柱としてWBCのマウンドに立ち、かつてはダルビッシュのように所属するレッドソックスでも主戦扱いされていた男――。そう、松坂大輔である。 2008年以降は故障と不振に泣き続けた元“怪物”は、今ではマイナー契約でインディアンスの開幕ロースターに残るために奮闘中。そんな近況を聴けば、無情なまでの時
2009年大会では7試合に出場し、8安打4得点、打率.364の成績を残した中島裕之【プレイバックWBC2009】 北京五輪敗退後、国際舞台への参加に二の足を踏む選手が増える中、中島裕之はWBC出場へ並々ならぬ思いを抱いていた。だからこそ、彼は夢の舞台で最高のパフォーマンスを発揮できたのだろう。体調を崩す不運はあったものの、ジャパンに欠かせない存在であったことは誰の目にも明らかだった。 「今日の試合は、大事をとるという状況ではないんですけどね......」 清原和博氏の怒気を含んだ声が地上波放送に流れる。それまで解説者1年目として丁寧(ていねい)なコメントに終始していた清原氏だったが、このときばかりは異様な迫力に満ちていた。 3月17日、3度目の韓国戦。ベスト4進出を決める重要な試合のスタメンに、中島裕之の名前はなかった。12日に風邪で練習をキャンセルして以来、体調を完全に取り戻せず、前々日
吉井氏が投手陣のリーダーとして期待する内海哲也 第3回WBCの日本代表メンバーが決まった。投手陣では抑え候補だった中日の浅尾拓也が右肩の不安によりメンバーから外れ、チームメイトの山井大介もWBC使用球に馴染めず落選となった。選ばれた投手は、杉内俊哉、内海哲也、山口鉄也、澤村拓一(巨人)、能見篤史(阪神)、前田健太、今村猛(広島)、涌井秀章、牧田和久(西武)、攝津正、大隣憲司、森福允彦(ソフトバンク)、田中将大(楽天)の13名。浅尾の落選により抑えが決まっておらず、先発候補だった前田も右肩の不安から調整が遅れており、まだ今後の見通しが立っていない。この状況の中、どのようにして投手陣を整備し、WBCに挑めばいいのだろうか。昨年まで日本ハムで投手コーチを務め、メジャー経験もある吉井理人氏に訊いた。 ―― 今回のWBC日本代表の投手陣を見て、吉井さんの第一印象を聞かせてください。 「まず思ったこと
福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazuphoto by Getty Images ウインターリーグは母国に残した家族や親戚に自分のプレイを見てもらえる絶好の機会だ 年が変わって2013年となり、2月中旬から下旬ごろに始まるキャンプインまで、メジャーリーガーはシーズンオフを各々過ごしています。しかしオフだからといって、数ヶ月もゆっくり休んでいるわけではありません。近年は、ほとんどの選手が想像を絶するような厳しいトレーニングに励んでいるのです。 実は40年ほど前まで、オフのメジャーリーガーはあまりトレーニングを行なわず、むしろアルバイトに精を出していました。ビックリする話かもしれませんが、当時のメジャーリーガーの給料は安く、1970年の平均年棒は約2万9000ドル(約812万円・当時)。最低保障年俸も1万2000ドル(約336万円・当時)だったので、多く
大リーグ1年目で大活躍したブルワーズの青木宣親選手。不利な条件をはねのけ、レギュラーの座を勝ち取った。【時事通信社】 9月。マイアミの澄み切った空を見ながら、ブルワーズの青木がぽつりとつぶやいた。 「パイオニアと呼ばれる人ってすごいですよね。野茂さんとか、イチローさんとか。誰もが通っていない道をこじ開けるわけですから」 大リーグも終盤にさしかかり、青木は不動の1番として定着していた。それでも、自らのパフォーマンスの不安定さにもがいていた時期。先人の偉大さを改めて感じての言葉だったのかもしれない。 不思議な縁がある。青木は宮崎県日向市出身。当地は、近鉄バファローズのキャンプ地だった。「僕、子供のときから野茂さんを見ているんですよ。とにかく体が大きかった印象があります」。憧れでもあり、身近にも感じていたプロ野球選手はその後、海を渡った。トルネード投法を武器に並み居る強打者を三振に仕留める姿を何
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