5-1. はじめに ここまでの章ではノイズが発生し、アンテナに伝わり、放射する仕組みを比較的単純なモデルで説明してきました。ところで実際のノイズ対策では、ノイズ源がアンテナに直接つながっていることは稀です。多くの場合、ノイズはノーマルモードで発生しますが、その後コモンモードに変換され、電子機器のグラウンドを通じで伝搬し、ケーブルや筺体をアンテナとして放射する形を持ちます。すなわちノイズの伝達路のなかに、ノーマルモードからコモンモードへの変換を考える必要があります。 ノイズを受信するときはこの反対で、ノイズの侵入はコモンモードが多いのですが、最終的に回路が誤動作したり壊れたりするときは、ノーマルモードになっています。この場合はコモンモードからノーマルモードへの変換が問題です。ノイズの放射と受信は仕組みとしては同一ですので、ここではノイズの放射に絞って説明しています。 この章では図5-1-1の