ネットで価格を簡単に比べられるようにもなって、 安売り競争は熾烈になる一方だ。安さを求める消費者の 欲望が雇用を失わせ、地域経済を破壊しているという。 ●史上最大の企業の裏側 消費者とすれば、ものを安く買えればありがたい。同じものを売っている店が2軒あれば、安い値段のほうで買おうとするのは当然だ。消費者としてはきわめて合理的な行動だが、その行き着く先はどこなのか。 だいぶんまえに買っておきながら時間がなくて手に取れないでいた本を読んだ。『ウォルマートに呑みこまれる世界――「いつも低価格」の裏側で何が起きているのか』で、その本には、こうした疑問に対する答えが、すでに起こっている現実という形で提示されていた。ビジネス書の流通業界のコーナーに置かれていることが多いが、業界の話にとどまらず、いま何が起きているのか、さらにはグローバル経済というものがどういうものかを教えてくれる好著だ。 ウォルマート