『魔法先生ネギま!』にみる成長の相互性(前編) ~ネギと生徒達の成長と問題~ はじめに ~問題の設定~ 赤松健『魔法先生ネギま!』(以下『ネギま!』)については、その前作品『ラブひな』の印象もあって、今なお「萌え作品」としてのレッテルが貼られやすい。またファンの間でも、例えば2ちゃんねるでは、バトル派とラブコメ派に分かれての評価がなされているかに見える。作品の楽しみ方は全く各人の自由であるとはいえ、それらにおいて作品はきわめて一面的・部分的に享受されている。 このような傾向に対して、いずみの氏は『リクィド・ファイア』内「赤松健論」において、先行作品・他作者作品との対比や作者の言説の引用などを基盤としながら、『ネギま!』を「少年漫画」として総体的に捉え直し再評価しようとする試みを続けている。通俗的な「萌え漫画」というイメージに「少年漫画」という新たな(しかし『週刊少年マガジン』という連載誌の