■ 既存のマンガ批評に対する苛立ちから「マンガ表現論」を立ち上げた伊藤剛、そして、その方法論をアニメ批評に対しても応用し「アニメ表現論」を立ち上げた黒瀬陽平、あるいは同様に新しいマンガ論を試みる泉信行。近年、従来のサブカルチャー批評において中心であった「物語論」から脱却し、各種サブカルチャーの「表現論」を志向する論文が多数提出されている。だが、そのような形で「批評」から取り残されてきたのはマンガやアニメだけではない。特に90年代以降の若者文化の中ではマンガやアニメ同様にサブカルチャーの代表的メディアであると認知されながらも、「物語論」すらまともに行われてこなかった文化――それが、「ゲーム」である*1。 ■ そのような問題意識は、若手批評家の立場から少しずつではあるが提示されてきている。『筑波批評』2008年秋号(ゼロアカ道場破り号)に掲載された高橋志行氏による「文芸批評家のためのLudol