東京の大学へ進学するために地方から上京する日、両親が車で空港まで送ってくれた。 父が運転席、母が助手席、俺は後部座席。 道中、父が「子供が上京する事になったら送り出す時にこの歌を聴こうとずっと思ってたんだ」と 曲名は忘れたけど子供が上京する時に親が激励するみたいな昔の歌謡曲を掛け始めた。 そういうシチュエーションに憧れていたらしい。 しばらくしてその歌の聴いて感極まったのか、母がボロ泣きし始めたんだけど 父は「このくらいで泣くなんて情けない、一生会えなくなるわけでもないのになー」と 笑い半分に母をからかってた。 父はずっと前をみて顔を直視できなかったんだけどバックミラーから見えた父の顔は 涙をためて目が真っ赤になってた。 普段そっけない父の意外な一面をみてその時はただびっくりしたけど 飛行機の中で父の泣き顔を思い出して俺も泣いてしまった…。