十二月二十日、小学館ガガガ文庫より「されど罪人は竜と踊る 去りゆきし君との帝国 (22)」が発売されます。 四年ぶりですが、ご予約ご購入いただければ幸いに存じます。表紙などは順次追加いたします。

六月十八日、私が大変お世話になっている有山リョウさんの「ロメリア戦記」が出ます。 ↑著者本人と出版社からの二重献本が届いたので、二冊を写してみました。 ↑ご興味あられる方はよろしくお願いいたします。 娯楽作家が言うことではないが、今はまだ三年前からの悲しみと痛みのリハビリ中である。少しは回復してＳＮＳで戯れている、とでも思っていただきたい。 「ハンニバル」 何回か見たけど、レクターの展覧会になってしまったように思う。 原因はレクターを狙う大富豪のキャラが弱い。狂気の頭脳戦はなく、単に部下を使って誘拐、脱出されて裏切られて死、とうーんとなる展開。とんでもない邪悪対邪悪の対決に、ＦＢＩ捜査官が翻弄されても良かったかなと。 「トレインミッション」 電車のなかで、突然謎の指示を受けるリーアム・ニーソン。だんだんと巨悪の陰謀だと分かる。 真犯人が狙うプリンの特定で、最後の乗客たちによる「俺がプリン」

香川県でネット・ゲーム規制条例が成立したけど、世界中の地方の議会や職場や学校で、ああいったフリン効果から取り残された人たちが必死に時代に逆行しようとしているのだなと思える。 科学的事実や統計より、ちょっと頭が足りない人や老人たちの根拠なき不安や不快感を大事だとするのは、カルト宗教としか思えないし、結果として悲劇しか生まない。 マシュー・ホワイトの本によると、歴史上で目立つ３０ほどの宗教戦争の合計死者数を五五〇〇万人と算出した（３０のうち１７は一神教同士で、８は一神教の異端に対する戦い） 共産主義思想とその思想が採用した偽科学では七千万人が死亡している。 何回か言っているけど、俗に日本には理系が足りないとされるが、実際には科学のうちでも、社会学が足りないのだと思われる。 「スタンド・マイヒーローズ PIECE OF TRUTH」 麻薬捜査に既存のやり方ではなく、作家や俳優を入れてという話。

雪の寒さで、ついカッとなって健康診断を受ける。 ついカッとなって積み立て投資をし、入院と先進医療保証つき医療保険に入る、ということもあっていいのではと思うが、聞いたことがない。 ついカッとなって慎重や長期的視野からの行動や善行をする人が少ないか皆無とすると、短気ってもう損でしかないなと思う。 「２１ Lessons」ユヴァル・ノア・ハラリ 体調が悪い三日間はこの本を読んでいた。過去と未来を検証してきた歴史学者が指摘する、現代における２１の課題。 物語の項目が辛辣。神に国家に、思想に正義に愛は物語でしかない。そして物語は、どれも千年後どころか百年後にあるかどうかも怪しい。 悲しいことに、人間が命を懸けるほどの意味が、これまでなにもなかったし、これからもないだろう。 苦しみだけが本当というか共通認識となり、苦しむ主体にこそ目を向けるべきであるという意見には賛成する。 ２０００年代で、ピンカーや

学者の調査によると、一度できた社会規範は消えにくいそうだ。邪悪な実例としては、アフリカにあった悪習、陰核切除や縫い合わせなどがある。 となると、不要で根拠不明な社会規範を作るマナー講師は、人類のために消滅すべき職業である。 最初に「ハンコは、おじぎをするように斜めに押すべき」と言いだしたやつ、探し出して「ハンコの角度が失礼になる原理は？　本当に角度の差を失礼と感じた人とは誰か？」と問い詰めたあとに首を刎ねよ。 「そう思う人がいるかもしれない」という仮定からできたルールって、藁人形論法という詭弁のひとつにしか見えない。 気づいたが、創作物へのポリティカルコレクトネスの動きも、マナー講師と同じものを感じる。実際の被害や不平等についての政治的公正さを求める感情は正しい。ただし、優れた創作物、創作者であるほど現実を反映したリアリティが高くなる。つまり創作物は現実に従っているので、ポリティカルコレク

ここ数日「三人殺すと死刑だから二人殺した」の新幹線殺傷事件の犯人、新潟女児殺人事件の犯人、熊谷六人殺害のペルー人がそれぞれ計画性がないから、心神耗弱や心神喪失で死刑ではなく無期懲役となっていた。最後の事件では、ご遺族が犯人を殺したいと明言していて、心情がすごく理解できる。 三人殺せば死刑の根拠としては、昔あった凶悪事件である永山基準がよく言われる。ただ、歴史の本を見ていると、もっと古くからその通念があると思われる。日本では唐律、当時の中国の法を元にした八世紀の大宝律令で、八虐という八つの大罪が死刑の対象となっていた。 当時は被害に見合う金銭支払いができれば貴族は許されるという特権があったが、八虐はそれすら許されない大罪とされていた。八虐は天皇殺害や国家転覆を企てる罪の他、不道といって一家三人を殺すことも入っている。八虐は概ね死刑、それこそ斬首刑となっていた（その後盗みでは死刑にはならないな

『献血ポスターに“巨乳キャラ”、海外からも批判 「若者に人気のキャラクター使っただけ」と反論も』という記事がありました。 際どい衣装でも過度に扇情的なポーズでもなく、多少強調がある巨乳の女性絵のポスターでしかない。これがいかんなら、巨乳の女性がポスターに写ったり、巨乳の女性が外を出歩くことすら責めないとならない。この手の自分の嫌悪感を、正義や社会通念や法則と切り分けられない人の意見がたまに聞こえてしまう。 二次元絵で訴えかけて釣られるのは、男性オタクがほとんどだろう。実は釣られてくれるだけマシである。 日本赤十字の平成３０年度における献血者統計を見ると、男性３４３２２９７、女性１３０３６４７人で三倍近い。全年代で男性のほうが上である。 となると、女性の権利が～のフェミニストも優しいはずの女性も、実際には献血という人助けを男性よりしていない確率が高い。 寄付には経済状況などで不可能な人もいる

ラピュタでドーラおばさんが「４０秒で支度しな！」と言うのですが、ダメな人は４０年経っても支度できないし、そのまま死ぬ。

『あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」をめぐって起きたこと――事実関係と論点の整理』という話があった。 表現の自由は自分の職業にも関わる大事なことである。権力や権威やその他への批判と自由な言論がないと、社会が停滞して、衰退する。 そして国家としても表現の自由がないと、実はかなり困る。自由な言論からの表現や抗議ができないと、市民は武力による打倒しか道がなくなり、内乱確率が高まることは研究結果で分かっている。だからこそ大事。 で、この芸術展を巡る話は最初から結末まで、誰もが予想できていたと思われます。 そして展示側も予想していたでしょう。 展示側は、普通にやったのでは話題になりにくい展示だと分かっているので、挑発的な展示をする。挑発されたと怒った人が、現場で抗議し、また脅迫ＦＡＸに電話にメールをし業務妨害、ガソリンのような液体を警官にかけて公務執行妨害で逮捕される。 結果として、展示

半グレの番組を見る。全体としてはもう闇金ウシジマくんが参照していた世界が、社会に広がっている感。 半グレのリーダー格たちは、もう顔をさらすことに躊躇しない。インスタやツイッターで見てわざわざ会いにくる女性ファンもいて、うへえとなる。 半グレに使われた一例の人は、中学卒業後に建築に入るが、朝起きて仕事するのがダルい、クーラーの利いた室内でやる仕事がいいと辞める。で、電気にガス、家賃も滞納し、知り合いに誘われてオレオレ詐欺の受け子をする。逮捕されて実家に戻り、居酒屋のバイト。いまだに誘いが来るそうだ。 「きつい仕事なのになんでこんなに給料安いんだ」という貧しい若者たちが、他者への被害を出しても金を得る、という邪悪な拝金主義となり、本人の苦難より悲惨な地獄を広範囲に生みだしている。 そして気になったのはもう一例。半グレに雇われた大学生が、町で女性をナンパ。数か月は恋人関係。だけどある時期、バイト

毎年エイプリルフールになにかするのかなと思われますが、作家となって十七年、一回もそういうことをしたことがありません。不思議なようで、害のない嘘を考えるのは難しいなぁと思っているうちに過ぎ去ります。作中でならいくらでもできるのですがね。 中華三昧を久しぶりに作ってなんか味薄いなと思いつつ完食。片付ける段になって、スープの袋が二つあってひとつ入れ忘れていたことに気づく。この余ったスープの袋の使いどころのなさよ。 久しぶりに宣伝として、音で聴く「され竜」オーディオブックが制作されております。 聴覚が不自由な方だけでなく、読むのではなく聞くという朗読もよろしくお願いできれば、ありがたく存じます。 ４月１２日配信開始 ・第一弾として「され竜　１」含む10タイトル ・配信ストア audiobook.jp google play apple books アニメイトオンライン 個別ページはまだのはずなので

消えた天才。野球の松坂選手をリトル時代に差し置いてエースで四番だった人が、中学で野球を辞めた。 理由が、離婚した母親を働いて助けたかったからというのが悲しい。本人もこれだけはチームメイトや監督に言えなかったそうだけど、日本野球界的にはかなりの損失。おそらくそういう事情で消えていく才能って多くあるのだろう。 これを周囲の人の善意で、とすると本人のように言えなくなる。顔の見える誰かに哀れまれてお恵みを受けるくらいなら、とまともな子ほど拒否する。そこはもうシステムとして国家の奨学金やらなんやらで助けてあげてほしいなと思う。 私もそらまー人生で人に助けてほしい時期は何回もあった。が、助けを請う人を度々間違い、みじめな思いをするだけで助けてもらえなかったので、助けを求めずなんでも一人でやる路線になってしまった。なんだかろくでもない大人ができるだけなので、次の世代がそんな思いをする必要が少しでも減れば

プロフェッショナル仕事の流儀。レスラー内藤哲也回なので見る。抜群の身体能力で、スターである棚橋の次のスターは自分だと思ったら、後輩から天才オカダが出て、なにもできず。客が喜ぶようにやればやるほどファンが離れる。そこで逃げるようにメキシコに出て、好きなようにやるレスリングを知る。日本に戻り、暴れてトップとなる。メキシコ修行ってなんかレスラーにとってええ感じになる不思議。 内藤選手はプロレスファンだったかつての内藤少年は満足するか、という視点を持っている。自分の姿を見てレスラーになる人が出れば、それが最高だと。 人によって忠誠心や倫理基準をどこに持つかはいろいろだけど、かつて子供だった自分やそのような子供への忠誠心ほどピュアなものはない。これも時空を越えた共感性と想像力の一種だと思う。こういうのが一切理解できない分からん人は、なにもかもつまらんつまらん言いながら一生を孤独に終えてください、とし

ゲームをやるとき、女性キャラの場合はだいたいjuscoという名前でやります。ジャスコへの忠誠心を示すジャス子です。なお生まれ育った神戸ではジャスコが近くになく、引っ越し先でも見たことないです。実はジャスコ童貞。 まだ見ぬなにかへの忠誠心ってなんだと思われるでしょうが、理想や正義や国家への忠誠心もそういうものです。だから私の忠誠心もそういうものです。絶対に違いますが。 「ゲゲゲの鬼太郎」 現代のテクノロジーや世情に寄ってアレンジした話が多い。となると技術が人の意識を変えていくというアメリカＳＦ式思考が世界を覆ったともいえる。 そして白山坊の話が実に美しい。 「今日からオレは！」 ドラマになっていて、伝説の今井＆谷川回を見る。役者も怪演。 現代的トリックスターの三橋の造形は以降、日本のいろんな創作物に影響を与えたと思う。ちゃんと人をおちょくる話し方って、今でもなかなかできない。西森博之さんと初

榊さんの上京に合わせ、三雲さん篠月さんら十五人くらいで飲む。実に楽しかった。 帰ってW杯の後半戦。終盤の日本の勝つために攻めない戦い方に賛否が出る。ランキングで下が二国ほどしかない日本が、一次リーグ突破という不可能をなしうるのは大変。むしろもっともフェアに戦ったからこそ見えた勝ち筋で、なんか誠実だからこそ勝てる頭脳ゲーム系漫画展開。 これで攻めて負けたら、同じ人の同じ口で「だから攻めるなと言ったのに」みたいなことを言われるわけで、どちらでも難癖が出るなら、んじゃ勝ちを拾いにいったほうがいい。たいていの意見は単なる好き嫌い程度、いわゆる青が好き赤が好き程度のものなので、競技者は気にしないほうがいいんじゃないのと思うほうです。他人の好き嫌いに左右される娯楽業にいる私が言うのもなんですが。

ちょっと気になったことで「サッカーファンは幸せになれない」という研究結果が発表されていました。 なんでも贔屓したチームが「敗北した際に心に負う痛みは、勝利の喜びの2倍以上である」とか。これ、贔屓チームまたはゲームや競技などで自分が全勝しても、わりに合わないことがあるんじゃないかと。 つい先日に言ったけど、勝敗だけを拠り所にして生きるのはやっぱり無理なのかなと思います。一方でなにも贔屓がないってのも、神聖ななにかを持たないわけで、それも味気ない。 答えはなんだと言われても、それは人や場所や社会や国家のそれぞれで適度な場所を見つけてもらうしかない。 言論の自由ひとつをとっても、独裁者の悪口を言ったら処刑される自由のなさはほとんどの人が肯定しないでしょうが、満員の映画館で「火事だ」と叫んで避難する人々を負傷させ死なせるような無制限の自由は、これまたほとんどの人が同意しない。ほとんど人が正解はその

普段は三倍界王拳ですが、現状四倍です。 イベント後にコミカライズ版「されど罪人は竜と踊る　輪舞」を担当さんから受けとりました。女性の登場人物がかわいいので満足。 ニドヴォルクが夜の街に来て、裸は変だと衣装を考え、たまたま風俗街で見たＳＭ衣装を参照したであろうという、実に科学的な設定を大事にしていきたいです。 ↑連載が続くように、ご購読いただけるとありがたいです。 そして前日のサイン会でのアンケートを受けとってご意見を見ていっております。こういう場でしか読者さんの意見を見ないので、ありがたいです。自著が切っ掛けで結婚なさった方や、他の書店員の方が来ておられたようで、楽しく読ませていただいております。 そういえば打合せで歩いていたら編集さんに「ここ角川ですよ」と言われて、角川本社の前を十数年ぶりに通っていたことに気づきました。すでに無関係となって久しいので、とくに感想はなし。 一方で、角川スニ