富野:『オタク学入門』を読ませてもらいましたよ。 でも、僕に言わせると、今やオタクは人畜無害以前の”消費者”でしかないんじゃないかと思う。 悪いけど、オタクを論じている場合ではないと思うのよ。 現実をご覧よ。今や、地球は住めないような荒れ果てた状態になってきているでしょう。 そういう状態に地球を陥れている、恐ろしい存在についてこそ、時間を費やして話し合うべきだよね。 オタクは、ぬくぬくとした囲いのなかでしか生きられない存在だからね。 そもそも、今はそんな安全な世の中じゃないと思うよ。 岡田:十数年も前に書いた本を読んでいただいて本当にありがとうございます。 このときは政治闘争の意味も含めて、オタクってあんたらが思ってるほどひどくないよ、というニュアンスで書いているんです。 この文庫の元になった単行本を書いたのは、1996年で、過剰にオタクが非難されていた時期でした。 だから、思い切って持ち