人生のある時期、埼玉の某所に住んでいたことがあった。 そしてその時期、ウッカリと失恋をした。 当時、学生に毛が生えた程度の年齡だった。 今となっては、お相手のことは「世界一どうでも良いオブどうでも良い」。 今日も世界のどこかで、幸せに暮らしていてほしいくらいだ。 しかし、「どうでも良いオブどうでも良い」というのは結果論であり、本気で愛していなかったけれど、若い私は結構その恋に執着していた。 最後は、たしか煮えきれない態度を続けるお相手に私が安らかにキレて終わったのだ。 喫茶店で別れ話をしながら、グラスの水を相手の顔にかけることさえなかったが、自分の飲食代だけ数千円ドカンとテーブルに置いて静かに帰宅した。 我ながら一連の流れが、恋愛ドラマの観すぎだと思う。 そして、自分からその恋にギブアップしておきながら、心の内側がしばらく大出血していた。辛かった。 ■ 数日後。 腹が減り、昼、ひとりで最寄
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