訊かれた住所について答えると、みな決まってそんな反応をした。 しかし、僕が住んでいたのはいわゆるプラチナ通りがある高級住宅街ではなく、昔ながらの商店が建ち並ぶ下町らしいエリアだった。そのため「シロガネーゼ」と言われるたびに、どこか罪悪感に似た感覚をおぼえるのだった。 そこは一人暮らしをするのにはとても適していて、マンションを出てすぐのところにクリーニング屋さんがあり、飲食店も豊富にあった。実家のように落ち着く雰囲気の洋食屋さん、飾らない味のラーメン店、ランチセットがお得な喫茶店——自炊などしなくても、町は僕の健康状態を保ってくれた。 僕の部屋は四階にあり、間取りは1LDKだった。全面フローリングだが、リビングには、業者に頼んで白いカーペットを敷いてもらった。どこでもごろごろできたほうが広く使えそうだからだ。じっさい、ソファーの前に置いたローテーブルで食事をとるときや、友人が遊びに来たときな