タバコの価格が一気に倍になるやもしれんという話がいよいよ本格化してきた。おれは喫煙者だが、「取りやすいところから取りやがって」という怒りは不思議なことにまったく湧いてこない。そもそも、健康に悪いと言いながらその税収がアテにされるという矛盾を内包した不思議な商品なのだ、タバコというのは。ひと箱六百円以上になるんなら、いいやめどきだ。今度ばかりはおれもやめるぞ。 いや、“やめる”というよりは、特別なときだけに「よーし、今日はマツタケを食うぞ」といったのと同じノリで、「よーし、今日はタバコを吸うぞ」といった具合に吸うようになるだろう。正月の三が日くらいは吸おう、とかね。そういう意味では、おれはもう何年もマツタケを“やめている”。キャビアもやめているし、トリュフもやめている。ドンペリもロマネ・コンティもやめている。どうだ、えらいだろう。まあ、そういうものを常習していた時期がそもそもないのだが。 し