【北京=坂尻信義】尖閣諸島沖の東シナ海で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で、中国の外交を統括する戴秉国・国務委員(副首相級)は12日未明、丹羽宇一郎・駐中国大使を呼び、中国側の「重大な関心と厳正な立場」を表明した。日本側に「賢明な政治決断」も促した。中国外務省がホームページで明らかにした。 この問題で中国側が丹羽大使を呼んだのは、10日の楊潔チー(ヤン・チエチー)外相の抗議に続いて4度目で異例。外相よりさらに高位の戴氏が大使を呼んでこうした申し入れをすることも、極めて珍しい。同省のホームページは、戴氏が「情勢の判断を誤らないように求めた」としつつ、「抗議」については触れていない。 丹羽大使は同日の楊氏との会談で「逮捕された船長への扱いを含め、厳正に日本の国内法に基づき、粛々と対応することになる」と応じており、戴氏にも改めて日本の立場を表明した。