権力者は国家の組織を通じて社会の成員に法令を遵守させ、歳入を確保し、政策を実行することができます。一部の国民が抵抗する動きを見せたならば、権力者はその脅威に対処するために抑圧(repression)を選択する場合があり、脅迫、傷害、拘束、拷問、殺害、追放などの措置が含まれています。 政治学の研究者が注目しているのは、権力者が抑圧を選択する際に、直ちに無制限の暴力を行使することを避け、相対的に暴力性の程度が低い抑圧を好む場合があることです。これは抑圧にかかる行政上のコストで説明されることもありますが、政治体制の違いで説明できるという見方があります。 まず、民主主義体制の抑圧について考えてみましょう。Koopmans(1997)は、1990年から1994年のドイツにおける極右の政治運動と警察の警備活動に関する考察をまとめた論文で、暴力的な抑圧がかえって逆効果であるという見解を示しています。その