こう語るのは慶應義塾高校前監督の上田誠氏だ。上田氏は1991年に慶應義塾高校野球部監督に就任。母校を43年ぶりに甲子園に出場させた名将だが、アメリカ留学を経て子ども本位の野球指導の必要性を痛感した経験があり、『エンジョイ・ベースボール』という著書でも知られる。今は学童野球や少年野球の指導も行い、その現状に警鐘を鳴らしている。 「学童野球・中体連・高野連は運命共同体です。わが国の野球の底辺を支える学童野球は今、危機的状況にあります。この危機的現状を作っているのは、①試合過多(1年間に200試合以上しているチームがあり、ローカル大会への規制がない)②スポーツ障害の増加(小学生でトミージョン手術もあり、スポーツ医学の知識が指導者に乏しい)③指導者の旧態依然とした指導(罵声や長時間練習)④野球用具の高騰(ビヨンドマックスのバットが約4万円。他競技の2~3倍の費用)⑤お茶当番などの保護者の関わり方が