訪日したフィンランドのマリン首相(左)。共同記者会見後に岸田文雄首相とともに=5月11日、首相官邸(矢島康弘撮影)今年5月、北欧のフィンランドがロシアによるウクライナ侵略を契機に、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請した。日本ではフィンランドを中立国とみなす向きが多く、教育や福祉分野での注目が先行する「ソフトパワー」のイメージが強かったこともあり、加えてマリン首相の訪日も重なって、このニュースは大きな驚きをもって報じられた。 皇学館大准教授の村上政俊氏戦後の冷戦下において、米国を盟主とする自由主義の西側陣営にも、ソ連(現ロシア)を盟主とする社会主義の東側陣営にも、いずれにもつかない「非武装中立」の平和主義を理想として掲げてきた日本の一部政治家やマスコミ、学者などいわゆる「左翼」と呼ばれた人々は、その具体像を、「中立国」フィンランドに重ねることが少なくなかった。日本は日米安全