473兆円──これは日本の名目GDP(2011年度)である。この数字は約20年間、ほとんど変わっていない。そうしている間に、他の先進国は多くがGDPを1.5倍~2倍以上に増やしている。なぜ日本だけが長い不況のトンネルをいつまでも脱することができないのか。大前研一氏は、その根本的・構造的問題を考えなければ安倍政権が経済を真に復活させることはできないと指摘する。 * * * 大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略を“3本の矢”とする安倍晋三首相の経済政策をメディアは「アベノミクス」と大々的に取り上げ、年末から年始にかけて株価は大きく上昇し、為替相場でも円安が進んだ。 安倍首相は、年明けに閣議決定した事業費総額20兆円の緊急経済対策で「実質GDP(国内総生産)を2%押し上げ、約60万人分の雇用を創出する」と意気込んでいる。しかし、それは「捕らぬ狸の皮算用」で終わる可能性が高い。 そもそも安倍