新型コロナウイルスの感染者が急増しているブラジルでは、2009年のパンデミックインフルエンザでも多くの犠牲者が出た=2009年9月、サンパウロの感染症専門病院で、平山亜理撮影 先進国に暮らす人々の多くにとって、感染症で命の危険を身近に感じる経験は初めてかも知れない。実際、世界保健機関(WHO)が、「高所得国」「高中所得国」「低中所得国」「低所得国」ごとに2016年の10大死因を調べたところ、高所得国での感染症は様々な病原体による下気道感染症(肺炎など)が6位に入るだけだった。 しかし、所得が少ない国になるほど感染症による死者は増える。低所得国では下気道感染症が最大の死因で、2位が下痢性疾患、4位HIV・エイズ、6位マラリア、7位結核と、感染症が目白押しだ。世界全体でみても、下気道感染症による死者は年間300万人で4位、下痢性疾患は140万人で9位、結核も130万人で10位に入っている。 感