「政治少年死す(セヴンティーン第二部)」は、『文学界』1961年(昭和36年)2月号に掲載された。 『大江健三郎文学事典』の「政治少年死す」の項に下記の記述がある。 「この第二部によって「おれ」のモデルが当時の社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺した山口二矢であることが明白になる。一九六○年十月十二日に起こったこの事件は作者執筆時にあまりになまなましい記憶として作者の脳裏にあったろうし、作者の文体もその躍動する時間の中でかなり興奮したものを反映している。「こういうファナティックな文体が批判的でありうるわけがない」と文芸時評に書いた山本健吉の感想もそのへんの事情をさしている。しかし主人公に対する作者の世代的共感については山本健吉も評価していたし、平野謙も「ファナティックにまで空想的なその性格に対する感情移入」が可能であったのは作者の「詩人」性のたまものであると高い評価を下した。なお、作中から予想され