過激な学生運動と内ゲバ、70年代に起きたあさま山荘事件や過激派によるテロ事件――左翼運動が最高潮に達しながら、急速な凋落を辿った60年代にいったい何があったのか。 池上彰、佐藤優両氏が、過激化した左翼の失敗の歴史から「思想の力」の恐ろしさを解き明かす最新刊『激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972』から、「序章」の冒頭を特別に公開します! 「新左翼」の登場 池上 戦前から現在までの日本左翼史を通観する目的で佐藤さんと始めたこの対談も、2巻目に突入しました。 佐藤 2020年から続くコロナ禍の影響もあり、格差や貧困がさらに拡大しました。社会の分断が深刻化しています。そして、いま私たちが直面している問題の多くは左翼が掲げてきた論点そのものなのです。 危機の時代を生き抜くために、左翼の功罪を検証し、世界の新たな展望を切り開く「左翼の思考」を取り戻さなければならない――。こうした問題