IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。前回は不幸にも情報漏えい事件が起きてしまったら、漏えいに関与するシステムの開発や保守を担当しているITベンダーにはどのような責任が生じるのかを、裁判例を基に解説した。 今回から複数回にわたりソフトウエアの著作権について解説する。他者に不本意な「マネ」をされないように、そして、知らず知らずのうちに他者の権利を侵害しないように、参考にしてもらいたい。 IT紛争における重要テーマでありながら、今まで、この連載で扱ってこなかった問題がある。著作権だ。コンピューターのプログラムや設計書の著作権が誰に帰属するのかを争った裁判の数は多く、この連載でもいつかは取り上げなければならないと考えていた問題だが、今回ようやく時宜を得た。 IT開発に携わる者であれば、当然に知っておかなければならない問題でもあるので、今回以降取り上げる判例などを参考に