「これまで以上に悪質、巧妙で捜査の困難が予想されるところであります」 16日に開かれた警察庁の緊急会議。遠隔操作ウイルスに翻弄された捜査を仕切り直す場だったが、舟本馨刑事局長は眉間にしわを寄せながら、犯人検挙の難しさに言及せざるを得なかった。 《「警察・検察を嵌(は)めてやりたかった、醜態を晒(さら)させたかった」という動機が100%です》 真犯人を名乗る人物の「犯行声明」。小躍りしたい気持ちを抑えるかのように淡々と記されていた。捜査機関に冤罪(えんざい)を作らせ、後でタネ明かしをして威信失墜に追い込む。警察官僚が苦虫をかみつぶした冒頭の会議こそ、真犯人が待望したものに他ならない。