自分が生まれ育った場所でもあるニュージャージーのサバービアを舞台に映画を撮りつづけるトッド・ソロンズ。彼の作品の鍵を握るのは常に人間同士の違いだ。登場人物たちは、男女、大人と子供、美醜、階層や貧富、人種、異性愛と同性愛、健常者と障害者、才能や名声などが生み出す境界をめぐって、違いに憧れ、違いに苦しみ、違いを求め、違いを憎悪し、違いに翻弄され、悲惨であると同時に滑稽にも見える状況に陥っていく。 新作の『おわらない物語-アビバの場合-』は、ソロンズの出発点となった『ウェルカム・ドールハウス』のヒロインだったドーンの葬儀から始まる。従姉のドーンがレイプされ、自分の分身が生まれてくることに耐え切れずに自殺したことを知った幼いヒロインのアビバは、自分が彼女と違うことを身を以って証明しようとする。だが、12歳で妊娠にこぎつけたものの、母親から中絶を強要される。それでも諦めきれない彼女は、手術が失敗した