シンガポールにメディカル・セービング・アカウントという制度がある。国民の医療費をカバーするために政府が設計した貯金制度のようだ。この制度について詳しい知識を持っているわけでもないし、ましてそれについて解説することがこのコラムの目的でもない。ただ、この制度から想像できるいくつかの点は、今後の日本の医療改革を考える上で重要な示唆を与えるのではないかと考えている。 日本の医療において、予防、検査などの重要性がますます増している。日本で国民皆保険が定着した1960年代の初めのころは、感染症が多かったそうだ。国民の栄養状態が悪かったこともあり、感染症にかかった国民を守る必要があった。この場合は「治療」が重要な意味を持つ。しかし、今や、生活習慣病の重要性が増している。豊かさの弊害でもあるだろうが、カロリー摂取過多、運動不足などの人が多い。いわゆるメタボだ。生活習慣病では、検査を定期的に行い、糖尿病予備