体長約1ミリの線虫を用いたがん検査が注目されている。犬に勝る嗅覚を持ち、尿に含まれたがんのにおいに集まるという。この特性を生かし、既存のがん検診では早期発見が難しい「15種のがんリスク」や「膵臓(すいぞう)のがんリスク」の検査サービスが始まった。だががん検診で重要なのは受けた人に不利益が少なく、検査によって死亡率が下がることだ。新技術に注目が集まる今、がん検診の基本を知っておきたい。 「がんは早期発見、早期治療が大事」というフレーズは浸透したが、その手段であるがん検診には誤解が多い。その一つが「がんがあれば検診で見つかる」という過剰な期待だ。がんを正しく判定できる割合を「感度」と呼ぶ。感度が低いと、がんがあっても「なし」と判定される「偽陰性」が増え、がんの見逃しになる。公的に推奨されている「対策型検診」(肺、胃、大腸、乳房、子宮頸(けい)部)でも感度は60~80%。つまり20…
![記者の目:新しいがん検査で考える 受診の不利益面も考慮して=高野聡(医療プレミア) | 毎日新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3f2b9b03b42136698f48cb82615855df6f7e6906/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.mainichi.jp%2Fvol1%2F2023%2F03%2F03%2F20230303ddm005070155000p%2F0c10.jpg%3F2)