防犯カメラがとらえた「万引き容疑者」の顔データをスーパーや書店などで共有する――。 全国の主要な小売業団体で作るNPO法人「全国万引犯罪防止機構(万防機構)」がこんな方針を検討している。機構側は「万引き被害は深刻で、自衛が必要」と主張するが、犯罪歴に結びつく機微な個人情報なだけに、プライバシー上の問題を指摘する専門家は多い。 ■帽子見破る 「ピーピーピー」 大型スーパーが入る千葉県市川市の商業ビル。記者が入り口のカメラの前を通ると、警備員室の警報が鳴り、モニター画面に記者の顔が映し出された。事前登録しておいた記者の顔を顔認識システムが検知したのだ。顔の特徴から同一人物かどうかを判定するシステムだ。「帽子をかぶっても見破れますよ」。ビルを管理する市川ビル幹部、長田泰文さんが教えてくれた。 同ビルで顔認識カメラを導入したのは2011年春。万引きなどが疑われる人物の顔を登録し、来店したら行動を監