「生物医学文献を精査すると,つねに約半数の文献で統計学的方法が誤って使用されていることがわかる。」(1) 「良質な研究は発表もうまく行うべきであり,発表はデータの収集や解析と同様に研究の一部である。よい文章は目にしたときにそれとわかる。科学も上手に表現されてしかるべきだと認識されたい」(2) 医学文献で統計学的な確率が,はじめて論じられたのは1930年代である(3)。それ以降,一流雑誌を含む多数の学術文献で,高い割合で統計学的誤りが存在することを複数の医学分野の研究者が発見している(4-7)。大部分の誤りは基本的な統計の概念に関わるもので,ガイドラインに従えば容易に回避できるものである。しかし,実際のところ統計報告の質が悪いことは根深い問題であり,深刻な影響を及ぼす恐れがあるものの周知されていない(8)。 「科学的根拠に基づいた医療」が提唱されるようになり,質の悪い統計報告という問題が注目