2.25.2013 末井昭第17回 鬱と自殺 元白夜書房の編集者・末井昭さんが、自殺について、ぐるぐる考えながら書いていきます。 48歳で家出をした末井さん。29年暮らした前の奥さんのこと。「私と暮らせば楽しいよ」と言う美子ちゃんとの新しい暮らしと、鬱の始まり。生きている感じがしない、何をすればいいかわからない。自己嫌悪のブラックホールからの脱出と、心の部屋の窓のこと。(編集部) 16年前のことです。いつものように会社に出かけようとしていたとき、その当時一緒に暮らしていた妻とちょっとした口論になりました。それは夫婦ではよくある些細な喧嘩でしたが、そのときふと「別れよう」という言葉が出ました。29年間一緒に暮らしてきて「別れよう」なんて言ったことは一度もなかったので、妻は「よくそんなことが言えるわね」と言って本気にしませんでした。 その頃、僕は写真家の神蔵美子と付き合っていて、この人