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  • 音楽を殺せ - 『サウンド・オブ・ノイズ』 - 1953ColdSummer

    サウンド・オブ・ノイズ SOUND OF NOISE 2013/スウェーデン/フランス/G 監督/オーラ・シモンソン 出演/ベンクト・ニルソン/サンナ・パーション/他 ―街を楽器に! 音楽で世界を変革する―  世の中には生きているだけで傍迷惑な人というものが私を筆頭にたくさん居わされるが、因果な映画の感想などを書いておると、ことに目にするのが「映画館で騒音をまき散らす人」の迷惑さ、というものに御座います。  映画館でうるさい奴が居た、死罪だ。つう声はさんざ聞こえど、映画館でうるさくしてしまった、死にます。つう声がまったく上がらないのが昨今のSNS文化の面白いところで、てえのは、まあ、別の話なのだけれども、はな、私かて、映画館で近くに座った人がいつまでもいつまでも袋をがさごそがさごそしていたり、映画編が始まってもまだお喋りを続けたりしていたらば少々気を悪くするのも確かで、隣に座ったおっさん

    音楽を殺せ - 『サウンド・オブ・ノイズ』 - 1953ColdSummer
  • トップダラー禍津が今年観た映画/2013年ベスト10&ワーストα - 1953ColdSummer

    年の瀬である。あと2日で地球が終わるなんて考えたくもないのだけれども、今年も何回も地球が終わったし、人類は滅亡した事であるし、あっ映画の話。  年末にこんな空言に戯けている間にも、皆様に於かれましてはブーブー忙殺されるがあまり頭がおかしい事になって、ラーメン屋に行き塩ラーメン一杯でドーベルマン刑事を全巻読破するまで粘ったり、そこの親父が遠回しに出て行けと詰め寄ってきて逆上、れんげで頭に一撃くれて親父をスープの出汁にした人も居るかも分からんが、2013年も終わろうといふ時にそんな気色の悪い話はやめてください。  多忙といえば今年の中頃、私も何やら駆けずり回り、三車線道路の真ん中で仰向けになって高笑いを行なうなど多忙を極めた時期もあり、また、長年愛玩していたモルモットのナム吉が天寿を全うした事もあって、少しく映画を観る段取りを付けられなかったという人情紙風船を頭に結わえ付け、ラーメン屋に行き塩

    トップダラー禍津が今年観た映画/2013年ベスト10&ワーストα - 1953ColdSummer
  • 寒村の人さらい、その目的を知ったとき価値観は逆転する 『トールマン』 - 1953ColdSummer

    トールマン  THE SECRET (THE TALL MAN) 2012/アメリカ/カナダ/フランス 監督:パスカル・ロジェ 出演:ジェシカ・ビール/ジョデル・フェルランド/スティーヴン・マクハティ/他  田舎、というものは兎角嫌なもので、卑近な例を挙げれば乃公が住まう田舎も医師が居らず、地図に載っていなく、旅人などが迷い込んで来ようものなら村民総出で「祟りじゃー!」と大合唱、四十六時中旅人を監視した挙句、恐れをなして山に逃げ込んだ旅人を松明持って山狩りをし、これを土着の神に捧げるなどするのである。  ところで斯様な田舎に根付き、糸電話と伝書鳩で通信行為を行なっておる乃公はついぞ最近知ったのであるが、ちまたではスマートホンとフェースブックというものが猛威を奮っておるらしく、この田舎にもその魔の手が伸びてきた。極めて酸っぱい顔をしながらパソコンという魔法の箱でそれを閲覧してみたるところ、「

  • 『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』 今年はもうこれを超える映画に出会えないかも - 1953ColdSummer

    チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット POULTRYGEIST: NIGHT OF THE CHICKEN DEAD 2013/アメリカ/R18+ 監督:ロイド・カウフマン 製作総指揮:パトリシア・スウィニー・カウフマン 脚:ガブリエル・フリードマン 出演:ジェイソン・ヤチャニン/ケイト・グレアム/ロイド・カウフマン/他   今年の暫定ベスト1映画。  わたしは、こと映画に関しては超党派たりえたいと思っているし、そのためにならどんな映画に対しても言葉を尽くしたいと常々考えている(『モスクワ・ゼロ』とか以外)。つて、格好を付けたって襤褸が矢絣に変わるわけでもねえ。思っている。考えている。所存である。ショゾーン。つうだけなら政治屋だって臀部を揺すぶりながら言っているのであるからして、ひと、にんげんとして、無聊退屈を厭う者として、言葉を尽くす、この行為を実行せねばならない。  然

  • 『悪魔の毒々モンスター<ノーカット無修正完全版>リバイバル』 日本よ、これがトロマだ!!! - 1953ColdSummer

    悪魔の毒々モンスター<ノーカット無修正完全版>リバイバル THE TOXIC AVENGER 1984/2013/アメリカ/R18+ 監督:マイケル・ハーツ 製作・撮影:ロイド・カウフマン 出演:ミッチェル・コーエン/マーク・トーグル/アンドリー・マランダ/他   もしも時間を逆行する事が出来たなら、過去の自分を、まあ、手斧や金槌で、とまでは行かなくとも、げんこつでぽかりとやってしまいたいというような、そんな切なさ、恥、といったものは多くの人が抱え続けているだろう。  少しく思い返してみても、でんべべ節を唄っていたら、「それ、ずんべべ節だよ、阿呆」と真顔で窘められたり、脳漿を絞り上げるようにして書いた現地グルメレポートを、「はは、これは優れた松清張だね。火サスの脚でも狙っているのかい?」とゴミ箱に放り投げられたり、穴があったら入りたいというか、顔を真っ赤にして削岩機で穴を掘りたくなる恥

  • 生きるって事はポルノって事 『どんずまり便器』 - 1953ColdSummer

    どんずまり便器 2012/日 監督:小栗はるひ 出演:菜葉菜/他  散切り頭をぴしゃぴしゃ叩きながらワガに内在するアニマに話しかけているのだが、何故斯様に女性性と交信すべく散切り頭をぴしゃぴしゃ叩いているのかと申しますと、これはもう観る側の倫理が女性性、具体的に言うと女性の中心、俗な言い方をするとま◯こによって規定されておるからであり、◯んこによって全容が明かされる作品である以上、散切り頭をぴしゃぴしゃ叩いてジェンダーを乗り越えねばこれを論じる事能わずと確信したからである。あ、今回観た映画『どんずまり便器』のお話ね。  実弟との間にいけない秘密を隠し持った女性が凶行に及び収監され、釈放されてみたら弟は気に入らねえ女と同棲していました。  つうのが概要であるが、はな、そんな文脈を糞真面目に追求するのはすべての公民権を返上させられた挙句それを労務とされた奴隷がやるような事で、要は女性観をどう

  • 『ムーンライズ・キングダム』 隠蔽された約束の入江に人は何考える - 1953ColdSummer

    ムーンライズ・キングダム MOONRISE KINGDOM 2013/アメリカ/PG12 監督:ウェス・アンダーソン 出演:ジャレッド・ギルマン/カーラ・ヘイワード/ブルース・ウィリス/他  人が人を憎悪する理由というものはふたつあって、それ即ち「これこれこうで不快だからムカつく」というものと、「何かムカつく」の大分である。もちろん問題なのは後者で、何かムカつく、などといきなり殴られでもしたら、被害者は理不尽さに泣き寝入りすることになるし、加害者は官憲に連行されて尿検査を受くることは間違いない。  さて、映画を好き、嫌うのもこうした理由を問うことが出来ようが、発端が明確でない憎悪を映画に対して伴う場合、それはにんげんを憎悪するよりも病理が根深いものであるとわたしは考える。「映画の好き嫌いくらいで何を大袈裟な、尊公は映画グルメか」と仰りたい気持ちも分かる。よく分かる。だが、少しく考えてみれば

  • 『レ・ミゼラブル』 銀の燭台に込められたルーツ、世紀を超えた情動 - 1953ColdSummer

    レ・ミゼラブル LES MISERABLES 2012/イギリス G 監督:トム・フーパー 出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アマンダ・セイフライド/アン・ハサウェイ/他 原作:ヴィクトル・ユゴー  異様な光景であった。  映画館内というものは、特にドレスコードも規定されておらず、老若男女の別も無く、劣悪遺伝子排除法も制定されてはおらぬので、おでこに「暇」と書いた学生から、元活弁士の老体、落ちぶれた琵琶法師まで様々な人物が映画を観る、ただそれだけを希求して群がりおり、箱の中に詰まって銀幕を眺むるものなのであるが、それにしたって、異様なものは異様である、と、異様な光景であった、と、乃公は言上せずには居られない。 『レ・ミゼラブル』  この歌劇映画がまさに終わらんとしておるとき、乃公の四方八方から、無数の嗚咽、すすり泣き、鼻啜り、腸内ガス発散の音、等々が聴こえてきたのだ。  乃公は

  • 『死刑弁護人』 悪魔の弁護士と呼ばれた男 - 1953ColdSummer

    死刑弁護人 2012/日 監督:齊藤潤一 ナレーション:山太郎 出演:安田好弘 他  吉報は1人で来るが凶報は友人を連れてくる、とはよく言うたもので、毎日々々不景気なニュースがインターネットを賑やかしていやがる。さする凶報を目に耳にするたび、天仰してはビバ、と言い、三点倒立をしてはマシェリ、と言い、言霊の魔力でワガの精神を防御しようとしていたのであるが、気付くと台所で1人で看々踊を踊り狂うなどしておって、これはあかん、あかん兆候であることよ、と、清濁併せ呑み吉報も凶報も同時く「情報」として扱うことに決めた。  そうした乃公のポジティヴをへし折ったのが、かの光市母子殺害事件、その被告の「ドラえもん」発言であって、乃公はこの発言にたいへん驚愕した上、それを殊更「被告の幼児性だ。故に赦せ」とほたえる弁護団に対して驚愕し、この二重の驚愕の相乗効果により法哲学批判のようなことをモニターの前で1人

  • それはスタイリッシュというにはあまりにデタラメ過ぎた 『ブラッディ・スクール』 - 1953ColdSummer

    ブラッディ・スクール  DETENTION 2011/アメリカ  監督:ジョセフ・カーン 出演:ジョシュ・ハッチャーソン 他  原題『DETENTION』として、すでに不健康な方面から驚愕・賛美の言の葉をもぎ取っていた怪作をやっとこさ観たのじゃよ。  とりあえず、凄いから、兎に角、観ろ、と、スタッカートを効かせた皆の衆の感想の字面を眺むるだけで、これはもう督戦された心持ち、蚕された気持ちになるもので、はは、死ぬ、ときゃ、前のめり、よ、と、スタッカートを効かせつつ、密林という名のオンラインショップから円盤を取り寄せた次第。  監督は『トルク』のジョセフ・カーン。  んで、監督だけを紹介するのも不親切に思わるるので、ジャンルも上奏したいのであるが、然しくして、わたしは時折自分のことを阿斗様の輪廻した姿なのではないのかと思うことがあり、それつまり、無能、を体現しておるということで、例えばこの映

  • 『ホラー映画ベストテン』企画に参加してみた。 - 1953ColdSummer

    天下泰平、五穀豊穣、国家安康、君臣豊楽、金福来来、てなものを希求し、祈り、願うのは信教の自由により保証されておるのだが、はは、宗教は阿片などとも申しましてな、祈って、願い、自分の身を1ミリも削らずして、自然の摂理をねじ曲げて、資主義に毒された自分の欲望を、自分の都合の良いように叶えたい、とか気で、合掌しちゃったりなんかして念ずるのは、これはもう阿片中毒者の奇行に等しくして、放置しておけば禁断症状、無差別などの事件に発生したりもし、往来をひょこひょこ歩いていたら、神様からの毒電波に当てられた人から出刃包丁でずぶり。なんて横死は避けたい。避けたいんだな僕は。なので魔除け(神除け?)のために人体が損壊する徳の高い映画を観ては熟慮勘考、ありもしない天罰から逃れるすべに頭を巡らせておるよ。  ほで、このたび、男の魂に火をつけろ!のワッシュさんが今回は『ホラー映画ベスト10』という企画を立案されて

  • 『リンカーン/秘密の書』 暗黒時代に猛る復讐の斧 - 1953ColdSummer

    リンカーン/秘密の書 ABRAHAM LINCOLN: VAMPIRE HUNTER 2012/アメリカ PG12 監督:ティムール・ベクマンベトフ 製作:ティム・バートン 他 出演:ベンジャミン・ウォーカー 他 原作:セス・グレアム=スミス 『ヴァンパイアハンター・リンカーン』  年嵩の職人が、はあ、銭にならん、銭にならん、と、ぶつぶつ言いながら玄翁で釘を打つ工事現場、を、ですな、素通りして、つと思うのは、はは、そりゃ度量衡を測っていては駄目であるよ、銭にならんよ。と。銭になる人間、つのは、ぶち折った桜の枝をこれ差し出して、「これは俺がやったことだ。許してちょんまげ」と正直に帝釈さんのような顔をして白状するような素直、正直、方便の利かぬ莫迦とも言う、が、まかり間違って美談/逸話となってしまったような人のことを指すのであり、ほっほ、銭になる人間には銭になる人間なりの背景があるものじゃよ。

  • 『トガニ 幼き瞳の告発』 この「この世の地獄」は、本当にあります - 1953ColdSummer

    トガニ 幼き瞳の告発 도가니 (SILENCED) 2012/韓国 R18+ 監督:ファン・ドンヒョク 出演:コン・ユ 他 原作:コン・ジヨン 『トガニ 幼き瞳の告発』 「自殺する度胸も無いくせに、竹刀(でボコ殴られた)くらいでピーピー泣くな」  とか、 「お前より恵まれていない人間はいくらでも居るんだから不幸そうなツラをするな。ほれ笑え。今すぐ笑顔をしろ」  とか、そうした台詞の対象にされてみたと考えて下さい。それにどうリアクションを取るのが正解なのでしょうか? 「正解」などありません。この台詞の対象にされた時点で、「詰み」です。  上記の台詞は、今回ご紹介したい映画『トガニ 幼き瞳の告発』の作中で発せられるものではありません。つまり、映画の中の、フィクションの台詞ではありません。  現実で発せられた台詞であり、言った方、言われた方の当事者が存在します。 『トガニ』の舞台は韓国は郊外の聴

  • 『プロメテウス』 人類の起源は恐怖の起源と同じくして - 1953ColdSummer

    プロメテウス PROMETHEUS 2012/アメリカ PG12 監督:リドリー・スコット 出演:ノオミ・ラパス 他  残暑などと、涼しさが訪う前フリのようなことをおためごかされているが、まだまだ暑いものは暑いざんしょ。  暑いと人間はどうなるか。  まず、外出すれば熱中症で死ぬるし、水分を切らすと脱水症状で死ぬるし、また気温35.6度不快指数89がかの芥川龍之介を服毒に追い詰めたのは有名な話だが、世の中は暑くて気が違えたら自縊を選ぶ人間ばかりだとは限らず、諸肌を脱いで扇子をぱたぱた振るっておったら、扇ぎ来る風は熱風だし扇子を振るう反復運動が体温の上昇と発汗を招いているということに気付き、その衝撃と酷暑についに脳の大切な線が、ぷつん、て切れて、扇子を長ドスに持ち替えてぞめき歩いておったら官憲に連行され、「太陽が眩しかったから」などと読んだこともないカミュの一節をつぶやいた挙句精神鑑定に回さ

  • 『ポテチ』 人生に於ける、奇跡のホームラン - 1953ColdSummer

    ポテチ 2012/日 G 監督:中村義洋 原作:伊坂幸太郎 『ポテチ』  馬鈴薯をば、こう、薄ーく切って、ですな、油で揚げて、塩やらコンソメやらをまぶして、袋詰めにしたものをこれ購入、欠片がぽろぽろ落ちるのも気にせず歩きい、或いはカウチに寝っ転がってぽりぽりい、油まみれになった手を服になすくり付け、なんてことを繰り返していると馬鹿に、じゃなかった、アメリカ人みたいになってしまうよというのは『26世紀青年』が警鐘を鳴らしている通りなのであるが、そんな LIFE STYLE 僕は嫌いじゃないな。カジュアリティ、って言うのかな、人中にて欠伸仕る、って言うのかな、糞酸っぱいワインをちびちびやりながらクラッシックの薀蓄を披露するよりも、ポテチをぽりぽりやりながら画面におかまが出てきたら「おかまだ〜」き◯がいが出てきたら「きち◯いだ〜」とへらへら笑っておる方が楽であるし、他者への気遣いというもの

  • 『リトル・リトル・クトゥルー』(編:東雅夫)読了。ラヴクラフト祭りは終わらない。 - 1953ColdSummer

    それなりに前評判が高かったものの「いつものクトゥルフか」とほとんどノーチェックだったので、いざ手に取ってみると、ネット上で知っている人の名前がたくさん載っていて、おほほ、チェックしてなくてすみません、当、しつけがなってなくて。と、見も知らぬ他人の子供の頭をぶん殴りたくなった。いや、この場合は穴があったら入りたい、と言うのが適切なのか。まあわたしはクトゥルー神話体系の邪神群の一柱ではないので穴蔵に潜り込む趣味なんざなく、普通に読み始めると、111編のお話とは言い条、800字縛りの掌編集なのですらすらと読み進めることができる。もちろん、楽しむためにはある程度はラヴクラフト作品の素養が必要とされるので、これを機にゲームやら漫画やらだけで満足せずに創元推理文庫の全集も併読し始めるような人たちが現れると嬉しい。  結論から言うと、期待通りというか、定形通りというか、日常のちょっとした恐怖や口伝的

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