「退屈なポストカード」(カスハガとも言う)など不思議なコレクションでも知られるフォトグラファー、マーティン・パー。その彼が長い間取り付かれたようにコレクションし続けてきた写真集をまとめて紹介した、「写真集の歴史」。著者自身一線で活躍する写真家であり、写真史の基礎教養もしっかりしているため、ここに並べられた本の数々はまさに写真史の側面をなぞるような並べられ方をしており、現在では数千ドル単位の貴重な本が多数。中でも驚かされるのが日本人でもかなわない和製フォトブックのコレクションのすさまじさ。土門拳や石元康博に始まり、細江英公の『薔薇系』が各ヴァージョンすべて押さえれていたり、『アラーキーのセンチメンタルな旅』の千部限定私家版や、杉浦康平による特殊装丁がすさまじい川田喜久治の『地図』が掲載されていたりと、中綿の図版をカラーで見られるだけでもたまらないものばかり。もちろん海外物も19世紀のものから