平安末期―鎌倉期の歌人、藤原定家(1162~1241年)が記した古今和歌集の注釈書「顕注密勘」の自筆原本が、定家の流れをくむ京都・冷泉家で代々継承された「古今伝授」の箱から見つかった。蔵でひっそりと守られ、約130年もの間開封されなかった秘伝の箱。調査した専門家は「国宝や重要文化財級のものは出尽くしたと思っていた」と驚きを隠せない。 冷泉家は宮中での歌会開催などを代々担ってきた「和歌の家」で、貴重な書物などが多く残ることから「文書の正倉院」とも呼ばれる。 古今伝授は、古今集の解釈などを伝えることを指す。江戸期に関連書物が箱に入れられ極秘扱いとなった。最後の開封は1896年。