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ブックマーク / kentapb.blog27.fc2.com (16)

  • なんでこの業績はノーベル化学賞なんだろう。薬作り職人のブログ

    今年のノーベル賞週間も終わりました。日では山中教授のノーベル賞受賞に盛り上がりましたが、ネットでは別の意味での盛り上がりがあったようです。 ノーベル化学賞の受賞者に、「生化学者」である米デューク大学のロバート・レフコウィッツ教授と、米スタンフォード大のブライアン・コビルカ教授の二人が選ばれました(参考:細胞の外から中にどうやって情報が伝わるかー2012年度ノーベル化学賞)。この受賞に関して、化学系のブロガーの方から「これって化学賞なの?」というコメントが出たのです。 Chemstationさん ノーベル化学賞は化学者の手に - 化学者のつぶやき 受賞対象となった論文は生命科学における大変重要な発見について述べられており、膜タンパク質という難敵の構造と作用機構を明らかとした人類の偉業であることに疑いの余地はありません。詳しくはこちら。でもなんかポアンカレ予想が、ペレルマンによってトポロジー

  • 簡易論文って言葉。薬作り職人のブログ

    「人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床治療」に関する報道が、世間を賑わせています。 虚偽の研究成果を発表したとされる森口氏のこれまでの研究成果についても、さまざまな疑念が報道されています。ただ、そういう報道の中には、ちょっと研究現場のことが理解されてない部分があったりするのかな、という点もあったりします。 森口氏の「研究成果」多くが簡易論文 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 新聞など各紙が、米肝臓病学会誌「ヘパトロジー」や英医学誌「ランセット」などに掲載されるとして取り上げた森口氏の「研究成果」は、その多くが正規の論文ではなく、情報交換を目的とする簡易論文だった。 森口氏は、色々な学術雑誌の「Correspondence欄」への投稿を行なっていました。この投稿内容は、たしかに科学論文文献データベース(Pubmed)などに登録されています。ただ、これらのC

  • 過去の創薬を知り、未来の創薬を考えるー創薬科学入門薬作り職人のブログ

    「創薬科学入門」(佐藤健太郎 著)を読んだので、レビューがてら思うことを書いてみます。 著者の佐藤健太郎さんは、製薬企業研究員、東京大学広報担当特任助教を経て、現在はサイエンス・ライターとして活躍されています。 著者が製薬会社勤務時代から主宰するWebサイト「有機化学美術館」「有機化学美術館・分館」では、有機分子の美しいCG画像とともに、有機化学の世界の様々な話題をわかりやすく紹介されています(現在は、ブログ形式の分館の更新がメイン)。また、代表的な著書である「医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書) 」では、新薬開発停滞と医薬品特許切れに伴う売上低下「2010年問題」について、研究現場のリアルな光景を交えつつ、その原因と現状についてわかりやすい解説をされています。 「創薬科学入門」は、「創薬の世界では何が行われているのか」について、主に有機化学の切り口から取り上げています。つま

  • パワポで資料を作る、とは。薬作り職人のブログ

    プレゼンで使うツールといえば、パワーポイントパワーポイントは、プレゼンの内容を理解しやすくするためのツールです。プレゼンの目的は、自分の言いたいことを聴衆に納得してもらうこと。そのためには、根拠となる数値やグラフを聴衆に提示したり、複数の事柄の関係性を図で示したりする必要があります。パワーポイントは、これらの用途に非常に適したツールです。 ただし、ツールというのは使い方がわるいと役に立ちません。それどころか、使わない方がまだましだった、なんてこともあります。プレゼンというのは、来、話者の言いたいことが伝わるのであれば、図表は必要ありません(講演会なんかだとパワーポイントがなくても話者の言いたいことは伝わりますよね)。プレゼンを補助するためのツールがプレゼンを台なしにしてしまうのは、絶対避けたいものです。 パワーポイントは、自分の知っていることを事細かに伝えるためのツールではありません

  • 白衣を脱ぐ日がやってきた。薬作り職人のブログ

    今日で今年度もおしまい。研究生活も、今日で一応ひと区切りとなります。 研究所では、実験に携わる研究員は基的に白衣着用。というわけで、白衣を来て過ごすのも今日が最後です。どうしようか一瞬考えた末、今日はクリーニングしたてのきれいな白衣を着て過ごすことにしました。クリーニングしたての白衣は、いつも着てる白衣とちょっぴり雰囲気は違いますが、気持ちを切り替えるには、やっぱりスッキリサッパリした雰囲気のほうがいい感じ。 午前中はミーティング。企画職に異動しても、今の職場と深い関わりがあることに変わりないので、そこを意識した質問やらコメントやら。現場では、いろんなことが錯綜してなかなか大変な状況。企画部との風通しもあんまりよくない現状だし、現場で長いことやってきた経験を元に、企画職としての立場で状況の交通整理とか方向づけをきちんとやらなくちゃな、なんて、みんなのやり取り見ながら考えてました。 お昼休

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    Nean 2012/03/31
    お疲れ様でした。
  • 「良薬は口に苦し」さて、どんな生薬が苦い?薬作り職人のブログ

    「薬といえば苦いもの」とおもわれている方は多いかも知れません。このイメージの元ともいえる「良薬は口に苦し」ということわざは、孔子の言葉といわれています。昔の薬は、植物の葉や茎などを煎じて飲むことがほとんどだったので、苦味を感じるというのは至って普通だったのでしょう。 それでは、こういう薬の中で、特に苦いものっていうのは、どういうものがあるのか?気になったので調べてみました。 調査対象は、第十六改正日薬局方に掲載されている生薬。日薬局方とは、日国内で使用される医薬品の規格基準書で、日で頻用されている医薬品が中心に収載されています(厚生労働省のホームページからダウンロード可能です)。日薬局方には、薬用植物や動物などから得られる「生薬」についての項目があります。そのなかには、個々の生薬について「生薬の性状」という項目があり、その項に形やにおい、味などが記載されています。ここで扱われてい

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    Nean 2012/01/08
  • イナビルの名前の由来ー新規インフルエンザ治療薬イナビル発売ー薬作り職人のブログ

    日、第一三共からインフルエンザ治療薬「イナビル」が発売されました。作用メカニズムは、よく知られているタミフルやリレンザと同じ、ノイラミニダーゼ阻害作用です。イナビルは、国内の製薬会社で開発され市場に投入された、はじめてのノイラミニダーゼ阻害薬となります。 インフルエンザウイルスが、感染細胞内で増殖したのち、細胞の外に出てくるためには、ノイラミニダーゼという酵素の働きにより、ウイルスと細胞膜が切り離される必要があります。ノイラミニダーゼ阻害作用をもつ薬物は、ウイルスが細胞膜から離れられなくすることで、ウイルスの他の細胞への感染を防ぎ、病状の進展を抑えます。 イナビルは、リレンザと同じ吸入薬。特製の吸入容器を使って、口から薬剤を吸い込み、インフルエンザウイルスがいる気道や肺に薬を到達させます。 イナビルの主成分、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、気道や肺の細胞の酵素によりラニナミビルと

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    Nean 2010/10/21
  • 200万年前の魚?料理。薬作り職人のブログ

    人の祖先がいつから魚をべたか、ということを示す化石が、アフリカのケニアで発見されたそうです。 The World's First Fish Supper(英語) この化石は、200万年前にヒトの祖先がべたナマズや亀、ワニの足です。 ヒトがべてきた物の研究は、ヒトの身体の進化を知るために必要なのだそうです。例えば、ヒトが肉や魚をべるようになったことで、脳の発達(脳の容積が大きくなる)に大きな影響をあたえたとか。いつから生活が変わったかということを示す化石と、頭蓋骨の標のような解剖学的な資料をつきあわせることで、いろいろな考察が可能となります。 今では、魚料理は当たり前のようにべますが、最初にべようと思ったヒトはやはり勇気がいったんじゃないかなぁ、と思ったりします。なんどか釣り堀に行きましたが、あのぴちゃぴちゃはねるヌメヌメの魚はどうもなれませんでしたから。 ↓↓いつも応援あ

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    Nean 2010/06/03
  • なんとも、太っ腹な話。薬作り職人のブログ

    今週の学術雑誌Natureに、英国の製薬会社グラクソ・スミスクライン(GSK社)の研究陣による興味深い論文が載っていました。 Thousands of chemical starting points for antimalarial lead identification 論文の内容を簡単にまとめるとこんな感じ。 「GSK社がもってる200万化合物からマラリアの治療薬の種になりそうな化合物を13000個ほど見つけました。データベースに載せるので、興味があったらマラリア新薬開発に役立ててね」 なんとも、太っ腹な話です。 マラリアは熱帯地方で猛威を振るっている感染症です。ハマダラカという蚊に住み着いているマラリア原虫という微生物が病気の原因。ハマダラカに刺されることで感染し、高熱や頭痛、吐き気などの症状が起こります。重症の場合は、意識障害や腎不全などをおこし死につながることもあります。 マラ

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    Nean 2010/05/26
  • iPS細胞は実用化されている、という話。薬作り職人のブログ

    のバイオ技術の最先端技術である「ヒトiPS細胞」。このiPS細胞、薬作りにも、いよいよ登場しつつあります。iPS細胞自体を薬とするのはまだまだ無理ですが、PS細胞を用いた評価法は、新薬開発の現場で一足先に実用化されています。 iPS細胞は、体のあらゆる臓器の細胞に変化(分化)する能力をもつ細胞です。ヒトの体細胞(例えば皮膚の細胞)に、「特定の遺伝子導入や化学物質による処理」を加えることで作成することができます。 iPS細胞は、もととなる体細胞を取り出したヒトの遺伝情報をそのままもっています。そのため、iPS細胞からつくりだした様々な臓器の細胞は、元のヒトにもどしても、理論的には拒絶反応を起こしません。 そのため、「iPS細胞を使って臓器(の一部)を再生し、臓器移植などの治療に使えるのではないか」という「再生医療」の考えのもと、世界各地でiPS細胞関連の研究が行われています。 しかし、現

  • もうひとつの2010年問題。薬作り職人のブログ

    2010年になって、もうひと月になろうとしています。2010年代のスタートということで、なにか気持ちも新たに、、、といいたいとこですが、あんまり去年と変わらなかったりもします。 とはいえ、実際のお仕事には2010年代ならではの問題も出てきます。製薬業界では、「新薬枯渇の2010年問題」というのがあります。しかし、それとはまた違う、2010年問題というのが、実験の現場では起こっているのです。ネットの上でも、いくつも似たような話を聞き、これは全世界的(大げさ)な話ではないのか、なんて思うのです。 それは、日付の話。実験ノートや実験サンプルでは、実験をした日、サンプルを採取した日など、日付を記入しなくてはいけない場面がたくさんあります。日付の書き方には、いろんな流儀があるのですが、西暦に関しては下二桁を書く人が多いようです。 2009年なら「09」。しかし、今年からは「10」。これが、なんとも違

  • 決定!「2009年10大分子」薬作り職人のブログ

    私たちの生活のなかでは、さまざまな「分子」が活躍しています。私が仕事で携わっている医薬品、生活の中に登場する様々な化学物質、私たちの体の働きをコントロールする酵素などのタンパク質。これらは、みんな「分子」です。また、学問の世界では、科学者の夢や苦労の結晶として、毎年いろいろな「分子」が世の中に送り出されています。 科学の世界に籍をおく私たち研究者には「分子」の世界は身近なものです。しかし、専門外の方には逆になかなか「分子」の世界が見えないことも確かです。 昨年の暮、インターネット上のサービスTwitterで「2009年を代表する10大分子ってなんだろう」という話題が起こりました。そこで、Twitterに参加している化学・バイオ関連の方々に「2009年話題になった分子」を推薦してもらい、投票と話し合いによって「2009年10大分子」を決めようというTwitter上のイベントが行われることにな

  • 「輸入インフルワクチンで不妊」は嘘・デマです。薬作り職人のブログ

    ブログの読者さんのコメントで初めて知ったのですが、どうも「輸入インフルワクチンで不妊が起こる」というデマが流れているようです。 「輸入インフルワクチンで不妊が起こる」というのは嘘です。根拠は全くありません。 出所となっているサイト(あえて晒しません)によると、以下のような話。 「輸入インフルエンザワクチンには、添加剤としてMF-59というアジュバント が使われている」 「MF-59は、もともと動物用の不妊ワクチンに含まれていた物質である。だから、不妊ワクチンと同じ組成をもつ輸入インフルエンザワクチンを打つと不妊になる」 アジュバントというのは、ワクチンの効果を高めるために使われる免疫増強剤の一種です。詳しくは、以下のリンクを参照してください。 ワクチンの隠し味「アジュバント」 今回のデマでは、「アジュバントとして使われているMF-59に不妊作用がある」ということになっています。これは大きな

    Nean
    Nean 2009/11/19
  • タミフルが嫌いな人々。薬作り職人のブログ

    タミフルは、現在インフルエンザ治療薬としてもっともよく使われている薬剤です。現在、新型インフルエンザによる重症者の数が(問題にならないほど)少数に収まっているのは、タミフルの果たした役割が大きいことは確かだと思われます。 そんなタミフルですが、嫌いな人はトコトン嫌いなようです。 以前、インフルエンザの治療のためタミフルを処方されていた10代の子供に異常行動が生じ、異常行動による死亡例が報告されたことがありました。このときには、「タミフルを使用禁止に!」という運動が巻き上がり、大騒ぎになりました。このときは、厚生労働省が「因果関係は不明だが、10代患者への使用は原則として控える」との指示を出し、科学的な議論がなされてとは言い難いのですが何とか収まりました。 この人たちは、今度は、タミフルがインフルエンザ患者に突然死を起こす、なんてことを言っています。どうしてもタミフルを悪者にしたくてたまらな

    Nean
    Nean 2009/10/10
    そういう連中ってまだゐたのか。
  • ネズミさんの宇宙旅行の問題点。薬作り職人のブログ

    これからヒトが宇宙に進出するにあたり、 宇宙での活動によるヒトの健康に対する影響を調べるには、 動物を使った実験が欠かせません。 果たして、薬作りの大切なパートナーであるネズミさんは、 これまで宇宙に行ったことがあるのでしょうか。 調べてみたところ、ネズミさんの宇宙旅行は、 これまでに何回か行なわれており、 いろいろな実験が行なわれています。 なかには「無重力空間で手術を受けたネズミさん」 なんてのもいたそうです。 Aviat Space Environ Med. 2005 Jun;76(6):589-93. Animal surgery during spaceflight on the Neurolab Shuttle mission. ネズミさんの手術ができるなら、 ヒトの手術もなんとかできそうですよね。 ただ、ネズミさんが宇宙飛行するには、 それなりの苦労があるようです。 無重力下

  • マスクの銘柄が変わるらしい。薬作り職人のブログ

    研究所ではマスクを良く使います。 どんな作用を持ってるか分かんない化合物や、 動物アレルギーのもとになる動物の毛なんかを、 研究者が吸い込むのを防ぐためです。 このところの新型インフルエンザの流行拡大で、 私たちが仕事で使うマスクも手に入りにくくなったようです。 経理から回って来た通知では、 マスクの銘柄を変更することで対応するとのこと。 代わりに登場するのは「活性炭入りのマスク」。 普段使ってるマスクよりはスペックが上がるようです。 どんな感じなのか、webで見てみたら、 活性炭が入ってるところが黒くなってるタイプが多いですね。 白衣の白にマスクの黒がアクセントになってて、 なんか、すごくかっこいいなぁ。 このタイプのがくるのかなぁ。 だとしたら、ちょっとうれしい。 マスクと言えば、「顔に貼るマスク」なんてのが出るようです。 その名も「ウィルガード バイラマスク」(アース製薬) ヒモを耳

    Nean
    Nean 2009/09/02
    マスクいろいろ。
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