野崎は阿部が演じてきた役の中でも、最もヒーロー的なスペック持ちなのではないだろうか。何でもできて頼れるカッコいいキャラのはずなのに、なぜか胡散臭く変人に見えるところに、彼が演じる意味があるのだと思う。 そもそも阿部は、ひとくせどころか3クセ、5クセぐらいある“変人”キャラクターを多数演じてきた。もちろん放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』で演じた武田信玄のように、どっしり構える重鎮の役にも説得力を持たせられるし、無口で訥々とした役など、変人とは違う役も多く演じている。 だが、彼の演じる“変人”キャラは強く印象に残るし、主役の時もそうでなくても、それぞれのキャラクターは最終的にはある種のヒーローだ。 今の彼の地位を築く礎ともなったドラマ、『TRICK(トリック)』(テレビ朝日系)シリーズの臆病な物理学教授・上田(臆病だけど相棒の山田奈緒子を助けることもある)、偏屈で余計な一言ばかり言って