■「基本動詞ハンドブック」とは コミュニケーションの基本単位となる文の骨格を決める重要な要素の一つが述語としての動詞です。日常生活でよく使用される基本動詞のほとんどが、複数の意味をもつ多義動詞で構成されていますが、このような現象は日本語だけでなく、世界中の言語に広く見られます。 多義動詞には、まず中心となる意味(中心義あるいは基本義)があり、そこから様々な意味が派生されます。例えば、動詞「上がる」には、「上の方への物理的な移動」という中心義があります。「屋根に上がる」、「ステージに上がる」というときの「上がる」は、「より高いところに移動する」という中心義です。この中心義から、水中からの移動(「風呂からあがる」)、家の内部への移動(「人の家に勝手に上がる」)、訪問(「お届けにあがりました」)などの意味が派生しますが、まだこれらの意味では、物理的移動を表すという点は中心義と共通しています。しか