目次 1.序 2. 保型形式 3. 4次元多様体上のインスタントン 4.アファイン・リー環とその指標 5.母空間とは? 6.双対性を理解したい! 1. 序 1994年にハーバード大学の物理学者ヴァッファから電子メールが送られてきて, 頭を思いっきり殴られたような衝撃を受けたことを, つい昨日のように思い出します. そのメールの内容は次のようなものでした. 4次元多様体 X の上のインスタントン数が n のインスタントンのモジュライ空間 Mnのオイラー数をe(Mn)としたときに, (1) Z(q) = Σn=0∞ e(Mn) qn という関数を考えます. ここで, q は不定元です. (収束の問題は考えず,単なる形式的べき級数と考えています.) このとき, ヴァッファとウィッテンは, 上の関数が保型性を持つという予想をしていて, ある多様体の例, 当時私が研究していたALE空間