「中国当局が警戒する人物」と評される外交官が、新内閣の発足と時を同じくして、新しい中国大使に任命された。 その名は垂秀夫。 巨大国家が警戒するほどの能力とはどのようなものなのか。そして、課題が山積する対中外交の最前線に立ついま、何を思うのか。 北京赴任直前の垂に、単独インタビューで迫った。 (山本雄太郎) 中国大使に起用へ 7月15日、NHKは朝のニュースで、新しい中国大使に外務省の垂秀夫(59)が起用される方向だと報じた。 たまたまだったが、その日の午後、私は当時、官房長だった垂に面会のアポイントをとっていた。 当局の発表前に流したニュース、把握しているだろう。どう思っているだろうか。 おそるおそる部屋を訪ねると、垂はめがねを外し、目をこすりながら、「おかげさまで寝不足だよ」と大きなあくびをした。放送を見た政治家や知り合いから、事実関係の確認やお祝いの電話が次々にかかり、朝早くから大変な