その中で、とある牧場でEMによる処理を行なった牛のスラリー(糞尿)を牧草に施用したところ、明確に土壌中の放射性セシウムが減少し、牧草への移行係数も低下したと書かれている。そのデータを見てみると、確かに農地の放射性セシウム量が減っている。また、対象区(化成肥料施用)の放射性セシウムが増えているのは比嘉氏も指摘しているとおり、周辺環境中の水が集まってきていて、それに放射性セシウムが含まれているとすればありうる話である。これだけ見れば、EM処理したスラリーに放射性セシウムを減少させる効果があるように見える。 しかし、この試験には試験設計及び結果の解釈にいくつか問題点がある。まず一つ目はスタート時の土壌中放射性セシウム量が大きく違うことである。これでは本当に平等な条件かどうかわからない。こういった試験研究の常として、比較するために変更する部分以外の条件は出来るだけそろえるべきである。反復を多くとる