日本人の2人に1人は、一生のうちにがんになるといわれる。がんになる前にいろいろな原因で亡くなるだけで、日本人は100%がんになるのではないかという考えもあるが、それはやはり違う。85歳とか90歳の方でも、何の病気もない人もいる。日本人は、がんになる人とならない人がいる。それはいつ決まるのか。そのヒントが広島・長崎から得られる。 アメリカが戦後、「原爆傷害調査委員会(ABCC)」という組織を作った。1975年にようやく日本がかかわって、日米共同の組織の放射線影響研究所となった。12万人の被爆者らを70年ずっと追跡してきた(=図1)。被爆2世の追跡もやっていて、すごい費用とマンパワーをかけている。一人ひとりの放射線量は、爆心地からどれだけの距離にいたか、どういう場所にいたのかで決まる。つまり距離と遮蔽で決まる。一瞬の非常に特別な出来事なので、記憶が鮮明で正確というのが特徴だ。米国の砂漠で核実験