性犯罪・セクハラの被害を全く受けずに大人になれる女の子が、いったいどれほどいるのだろう。 わたしは中学・高校と電車通学ではなかったため、電車内で痴漢に遭ったことは一度しかない。その代わり、セクハラを受けることは多い人生だった。 わたしが初めて、これがセクハラだと思った体験は、中学3年生の頃。相手は同級生の男子。スクールカーストトップに君臨するAくんだった。下着の色やサイズを聞かれたり、偶然を装って胸を触られたり、性的なからかいを受けていた。 はじめは驚いたし、動揺した。だけど、彼の機嫌を損ねたくなくて、常に明るいリアクションを返していた。彼の前で怒ったり泣いたり、ましてや先生に言いつけるなんて選択肢はなかった。あの頃、教室はほとんど世界そのもので、Aくんはその世界を支配する力を持っていた。彼の機嫌を損ねていじめのターゲットになるクラスメイトを見てきたから、自分がそうなるのが怖かったのだ。