「それだけは、なんとか死守したいなと(笑)」 井上慶太九段に「藤井聡太二冠に勝った最年長棋士」という話題を向けると、こう語ってくださった。その楽しそうな笑顔が実に素敵でとても印象に残っている。 井上慶太九段。1964年兵庫県芦屋市生まれ。先日、将棋モバイルアプリの「棋譜コメント」にも《50代でB級2組以上を戦っているのは14人。谷川浩司九段、中村修九段についで3番目の年長者になる》とあったが、将棋界を代表するベテラン実力者のひとりである。軽妙な解説も大人気であり、関西では多数の弟子の指導にあたる「名伯楽」としても知られている。 本稿では、井上慶太九段に語っていただいた思い出深い対局のこと、そして稲葉陽八段や菅井竜也八段など、今でも棋界のトップの実力を誇る弟子との幼少期からの思い出話などをご紹介したい。まずは、藤井聡太二冠との対局の話から始めよう。 藤井聡太“六段”に勝った唯一の棋士 井上慶
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