漂っていた泡に触れた。そんな出会いだった。 1998年2月にライトノベルレーベルの電撃文庫から刊行された上遠野浩平の『ブギーポップは笑わない』を、すぐに手にとって読んだという記憶がない。1996年2月から書き続けているウエブ日記を見返してみても、『ブギーポップは笑わない』を買って読んだという記述がない。電撃文庫の存在はすでに知っていて、『ブギーポップは笑わない』が大賞となった第4回電撃小説大賞で金賞となり、同時に発売された橋本紡の『猫目狩り』は読んだ記憶がある。『ブギーポップは笑わない』に反応していないのは、積極的に読んでいたSFだと認識できず、学園が舞台のホラーか何か思って後回しにしたからかもしれない。 それでも、2月のうちに『ブギーポップは笑わない』が評判になっていることには気がついた。誰かのウエブサイトのBBSだったか日記上だったか、泡のようにポツポツと浮かび上がっては漂い始めた称賛
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