今月2日、長嶋茂雄さん(77)は、初台リハビリテーション病院(東京都渋谷区)で懸命に汗を流していた。 「さあ、行こう」。そう言って、歩行マシンの上でマヒが残る右足を大きく踏み出した。「表彰式ではユニホームを着るんだよ」。担当の理学療法士松原徹さん(35)にうれしそうに話しかけ、ペースも自然に上がっていく。首位を独走する巨人の話になると、「調子がいいね」と、ほおをゆるませた。 自他ともに認める「せっかちな性格」は現役の頃と少しも変わらない。休憩も取らず、リハビリのメニューを次々とこなしていくが、マシンを移る間には、リハビリ中の人たちにも積極的に声をかける。隣で手足の筋力を鍛えるリハビリをしていた男性に「もっと、もっと」「ゴー、ゴー」といきなり“熱血指導”を開始。「監督に言われたら、やるしかないなあ」。男性は笑顔でピッチをあげた。 「長嶋さんが来ると、病院の中が一気に『パァーッ』と明るくなるん