熊谷晋一郎(くまがや・しんいちろう) 1977年生まれ。小児科医。新生児仮死の後遺症で、脳性まひに。 以後、車いす生活となる。 東京大学医学部卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務を経て、 現在東京大学先端科学技術研究センター特認講師。 少年時代に明け暮れたリハビリ生活を 科学的かつ官能的に描いた『リハビリの夜』(医学書院、2009年)で、 第9回新潮ドキュメント賞受賞。 平成24年8月24日 熊谷晋一郎(小児科医、脳性まひ当事者) 1 はじめに 薄れていく恐怖と痛み、深まっていく孤独の中で、リビングウィルに思いを込めたすべての人々に対し、私は、心からの敬意を表したいと思います。 私は、大切な人に負担をかけることなく、ひっそりと、粛々と、死への準備をしようという深い思いを想像すると、胸が熱くなりますし、むしろそのことを批判しようとする人に対して、怒りを覚えます。 この文章