巨大地震の発生に伴う揺れと地盤沈下、津波をスーパーコンピューターで同時分析できるシステムの開発に、東京大学の研究チームが成功した。 東日本大震災で起きた状況をほぼ再現できており、次世代スパコン「京(けい)」で実用化を図る。複合災害の精緻な被害予測に利用できる成果で、研究チームは東海・東南海・南海地震が同時発生する三連動地震の事前分析を計画している。 東大総合防災情報研究センターの前田拓人特任助教らは、新システムを既存のスパコンに実装し、これまで別々に行っていた揺れや津波の広がり、地殻変動を再現する計算を同時に実施した。 東日本大震災の状況をスパコン上で表現したところ、地震発生直後から10分後までに地震波が全国に伝わり、関東平野や仙台平野が沈降した。30分後以降からは大津波が沿岸を襲った。入力データ量は少ないが、分析結果はいずれも観測値に近く、システムの実用性が確認できた。