一部の初期状態がほんのわずかに異なっただけで、それが将来、全体に影響を及ぼす。そのために、長期間の予測が非常に困難になる--。こうした現象の代表とされるのが、気象現象である。先進国の多くは、天気を予報するために、世界最大級のスーパーコンピューターを投入している。それでも、ちょうど100日後の予報を出せといわれるとできない。3日後の予報なら、かなりの確度で可能なのにもかかわらず--である。 これをバタフライ効果と呼ぶ。韃靼(だったん)海峡の向こう岸で、蝶々が、羽を一振りした。それが、何ヵ月も経って、海峡のこちら岸の台風に成長するかもしれない--というのである。 こうした効果を内在する現象が、カオス現象である。カオスに関する工学的研究では、日本の、そして世界の第一人者の1人である東京大学、合原一幸教授のインタビューをお届けする。 さて、このカオスという言葉が世の注目を集めているのである。どれほ