エスカレーターは急ぐ人のために片側を空ける――。こんな都市部の暗黙の「マナー」に、大変な思いをしている人たちもいる。障害があって左側のベルトをつかめない。子どもと手をつないで並んで立ちたい。そんな思いを知ってもらい、誰もが安心して歩ける街にしようという呼びかけが始まっている。 埼玉県の会社員の女性(46)は10年前に脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)の手術をし、首から下にまひがある。エスカレーターでは右側に立った方が安定するが、「迷惑をかけるから」と左側に寄っていたという。杖をついて乗ろうとすると、またいで追い抜く人も。「荷物がぶつかって落ちそうになることもあり、ヒヤヒヤです」 こうした声を聞き、「気兼ねなく右側に止まって乗れる雰囲気を作ろう」と動き出したのが、東京都理学療法士協会だ。6月中旬、東京都内の駅でチラシなどを配り、「止まって乗りたい人もいる。立ち止まる勇気を広げよう」と訴えた。 日本