「根こそぎ持っていかれていた」。北海道松前町の無人島、松前小島に接岸した北朝鮮船の乗員10人のうち船長ら3人が窃盗容疑で逮捕された事件では、島の避難小屋が見るも無残に荒らされ、漁師たちが嘆息の日々を送っている。乗員は十数日間にわたり滞在していたとみられ、魚を食い散らかしたり、日本酒を空けたりした形跡もあった。現状復旧に必要な被害総額は1600万円以上。相手が相手だけに弁済のめどもたたない。逮捕者を除く7人の身柄は入院中の1人を別に入国管理局に引き渡され、いずれは7人とも強制送還される見通し。だが、漁師たちの誇りは踏みにじられたままだ。(社会部 上田直輝、市岡豊大) 想像以上の現場…「根こそぎ持っていかれていた」 「漂流した末にたどり着いた無人島に滞在していたのなら、多少荒らされたり食べ物や飲み物、燃料がなくなったりしていても仕方がないか」 7年前から島の管理人を務める漁師、吉田修策さん(6